東京商工リサーチが発表した「負債1000万円未満の倒産調査」結果によると、2020年度(20年4月~21年3月)の負債1000万円未満の企業倒産は、616件(前年度比20.0%増)だった。2000年度以降で最多だった2009年度の566件を抜き、最多記録を更新した。負債1000万円以上の企業倒産が、コロナ禍の支援策で歴史的な低水準をたどるなか、業績改善の遅れた小・零細企業の苦しい状況を浮き彫りにしている。
四半期別では、初の緊急事態宣言の発令で外出自粛、営業時短などを要請された2020年4~6月期は168件(前年同期比51.3%増)と急増、7~9月期も187件(同36.4%増)と大幅に増えた。「Go To キャンペーン」が始まった10~12月期は141件(同7.6%増)と増加率が縮小し、緊急事態宣言の再発令による飲食店への協力金などもあった2021年1~3月期は、120件(同10.4%減)と減少に転じた。
産業別では、製造業、小売業、不動産業を除く7産業で、前年度を上回った。最多は、「サービス業他」の302件(前年度比35.4%増)で、倒産に占める構成比は49.0%と約5割を占めた。「食堂,レストラン」(15→22件)、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」(6→20件)、「酒場,ビヤホール」(13→19件)などの飲食業で増加。次いで、「建設業」90件(同9.7%増)、「小売業」60件(同17.8%減)と続く。
形態別は、「破産」が597件(前年度比19.6%増)で最も多かった。倒産に占める構成比は96.9%で、前年度より0.3ポイント低下したが、大半を占める状況に変わりはない。次いで、「民事再生法」が13件(同85.7%増)で、全て個人企業の小規模個人再生手続きだった。このほか、「取引停止処分」と「特別清算」が各3件発生。法的倒産は613件(同20.6%増)で、年度倒産に占める構成比は99.5%と大半を占めた。
原因別は、最多が「販売不振」の456件(前年度比26.3%増)。倒産に占める構成比は74.0%で、前年度より3.7ポイント上昇した。次いで、「他社倒産の余波」が54件(同6.8%減)。また、「事業上の失敗」が30件(同9.0%減)。コロナ禍で厳しい経営環境が続き、事業基盤の構築途上で業績低迷から抜け出せなかった企業が多かったようだ。このほか、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が27件(同68.7%増)と急増した。
同調査結果は↓