労務行政研究所が発表した「職場におけるハラスメント調査」結果(有効回答数:周囲調査519人、当人調査514人)によると、〈周囲調査〉ではハラスメント言動の全項目平均で31.9%となり、約3人に1人が職場のメンバーによるハラスメントがあったことを認識している。特に見られる言動は「相手が嫌がるような皮肉や冗談を言う」(36.2%)など、法的には明確にアウトと言いづらい間接的な内容ほど発生の可能性が高いと言える。
一方、〈当人調査〉では全項目平均で22.2%となり、約4~5人に1人が自分自身によってハラスメント言動を行ったことがあると認識。特に見られる言動は「陰口を言ったり、悪い噂を広めたりする」(25.7%)、「相手が嫌がるような皮肉や冗談を言う」(24.7%)であり、周囲調査と同様の2項目となっている。これらの項目は周囲で発生する可能性が高い一方で、比較的、加害者当人のほうも意識しやすいものであることがうかがえる。
全項目平均に関して年代別でみると、〈周囲調査〉では30代前半が41.5%と最も高く、60代前半が21.8%と最も低い結果となっている。一方、〈当人調査〉では20代後半が27.8%と最も高くなるが、45歳以降では加害認識が低くなり、特に50代前半が15.0%と最も低くなっている。おおむね30代前半より若い層は、周囲のハラスメントへの認識も高く、また自分がハラスメント言動を行ったという認識も高い傾向にある。
職位別でみると、〈周囲調査〉では主任・係長及び課長相当職が34%台とやや高く、その後、部長相当職30.4%、役員相当職19.9%と役職が上がるほど、周囲のハラスメントへの認識は低くなる。一方、〈当人調査〉では、主任・係長相当職が27.1%と最も高く、課長相当職以降の職位では20%台前半で推移。主任・係長相当職は、周囲のハラスメントへの認識が高く、また自分がハラスメント言動を行ったという認識も高くなっている。
企業規模別でみると、〈周囲調査〉では「10~49人」、「5000人以上」が40%台と高く、また、「10人未満」は22.9%とかなり低い。一方、〈当人調査〉では、「50~4999人」の各層が25%前後なのに対し、「10~49人」が21.2%、「5000人以上」が19.4%とやや低い。なお、「10人未満」は7.8%とかなり低く、周囲調査と同様に低いことから、「10人未満」の企業規模では、ハラスメント言動自体の発生が少ないことが考えられる。
同調査結果は↓