コロナ禍で宿泊業者の売上高5割以上減が7割超える

 帝国データバンクが発表した「新型コロナウイルスに関する調査」結果(有効回答数9832社)によると、1都3県の緊急事態宣言が3月21日で解除となったが、コロナ禍が企業活動への「影響が継続している」は72.7%に達し、「すでに収束した」の8.2%を大きく引き離した。なかでも、宿泊業では「売上半減率」(前年同月比)が74.3%と、2ヵ月連続で7割を超え、飲食業も41.5%にのぼり、移動制限による深刻な影響は続いている。

 国や自治体、金融機関の各種支援策の利用については、「利用した」が59.4%だった。「今後利用する可能性がある」は5.8%で、合計65.3%の企業が利用について言及している。規模別では、大企業の「利用した」は31.9%なのに対して、中小企業では64.3%にのぼった。中小企業の「利用した」は前回より2.4ポイント増加した。「今後利用する可能性がある」は大企業が4.8%、中小企業が5.9%だった。

 資金繰り支援策を「利用した」企業を業種別にみると、最も利用率が高かったのは、「道路旅客運送業」の92.5%。また、「飲食店」は91.5%となり、2業種で9割を超えた。以下、「非鉄金属製造業」の88.8%、「その他の生活関連サービス業」は87.5%、「宿泊業」の85.7%、「自動車整備業」の85.7%と続く。「自動車整備業」は、前回(68.5%)から17ポイント以上増加した。

 コロナ禍の収束が長引いた場合、「廃業」(全ての事業を閉鎖)を検討する可能性は、「ある」が5.8%、「ない」は94.1%だった。「ある」は前回より0.4ポイント改善した。規模別では、大企業で「ある」と回答した企業は0.8%、中小企業は6.7%だった。廃業を検討する可能性が「ある」企業を業種別にみると、構成比が最も高かったのは、「その他の生活関連サービス業」の34.6%と、全業種で唯一3割を超えた。

 以下、「飲食店」の22.9%、「道路旅客運送業」の20.8%、「洗濯・理容・美容・浴場業」の20.0%と、いずれも個人消費者を主体に事業を展開しており、個人消費の落込みが経営を直撃していることを物語る。なお、「在宅勤務・リモートワークが制度化」された企業は、大企業が53.7%、中小企業が23.6%と企業規模で差が生じている。また、4月の入社式の「オンライン開催」は、大企業が17.1%、中小企業が6.7%で、同様に規模格差がでた。

 同調査結果は↓

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