日本総研がこのほど発表した「店舗における顧客対応の実態に関するアンケート調査」結果(有効回答数761店舗)によると、2020年は新型コロナウイルス感染拡大によって、小売業が大きな影響を受けた年となったが、実際、第1回目の緊急事態宣言下において営業自粛した店舗は、全体の約96%だった。新型コロナ感染拡大の影響によって、昨年度対比の売上が「かなり減った」(84.5%)、「やや減った」(10.5%)店舗は95%にのぼった。
新型コロナ感染拡大に伴い多くの店舗において売上減少の影響があったなか、テイクアウト等の新たな取組みを実施する店舗も多く見られた。特に、昨年度対比の売上が「かなり減った」、「やや減った」店舗は、「テイクアウト」(全体34%、「かなり減った店舗」35%)や「自治体等から配布されたステッカー設置」(同47%、49%)、「デリバリーサービス」(同9%、10%)といった新たな取組みの実施率がより高い傾向にあった。
また、店舗においても新たな生活様式に則した感染防止の取組みが定着。本調査の結果、「清掃と消毒の徹底」、「店舗内各所に消毒用アルコールの設置」、「従業員のマスクやフェイスガードの着用」、「定期的な換気」、「座席数の削減」、「従業員の健康チェック」の各項目についての実施率が高い傾向にあった。他方、「入店時の体温計測」、「店舗内滞在ルール」、「(非接触化のための)キャッシュレス」は、まだ定着していない結果となった。
キャッシュレス対応については、昨年度対比で導入店舗数は増加している傾向にあり、中でもQRコードの導入が増加傾向にあった。加えて、「キャッシュレス対応の店頭表示」を行う店舗数が増えた。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、非接触化をアピールするものとみられる。ただし、新型コロナ感染拡大に伴って導入が大幅に加速したかというと、全体的な増加率は限定的だった印象である。
喫煙環境対応の状況では、改正健康増進法や自店舗地域の喫煙に関する条例施行に伴い、「店内外ともに全面禁煙」、「店内は禁煙、店外に喫煙スペース」は10ポイント以上増加した一方、「全席喫煙可」は10ポイント以上減少する結果となった。また、これら喫煙環境の対応によって売上が「マイナスに影響した」店舗は昨年度対比で10ポイント以上増えており、禁煙・分煙化の流れが売上減少に影響していることがうかがえる。
同調査結果の詳細は↓
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/20210305_omori.pdf