銀行の中小企業向け貸出金残高、9年連続で増加

 東京商工リサーチが発表した「地方公共団体・中小企業等向け貸出金残高調査」結果によると、新型コロナ感染拡大の政府支援策に伴い、国内銀行109行の2020年9月中間期の総貸出金残高は498兆638億円(前年同期比6.4%増)と急増した。このうち、中小企業等向け貸出金残高は、コロナ禍の中小企業への資金繰り支援などで、335兆2102億円(同4.2%増)と、2012年同期から9年連続で増加、金額・伸び率ともに最高になった。

 ただ、全体の貸出が増加したため、総貸出金残高に占める中小企業等向け貸出の構成比は67.30%で、前年同期より1.42ポイント低下し、3年連続で前年同期を下回った。また、地方公共団体向け貸出金残高も36兆1706億円(前年同期比11.4%増)と、調査を開始した2010年同期から10年連続で増加し、過去最高額を更新した。109行のうち、地公体向け貸出金残高が前年同期を上回ったのは52行(構成比47.7%)だった。

 中小企業等向け貸出金残高が増加したのは105行(構成比96.3%)で、前年同期から9行増加。地方銀行はスルガ銀行を除く63行、第二地銀は東京スター銀行を除く37行で、それぞれ前年同期を上回った。大手行は5行で、前年同期と同数。中小企業等向け貸出金残高の伸び率トップは、「愛知銀行」の前年同期比20.2%増。中小企業等向け貸出金は1兆9143億円で、総貸出金に占める構成比は81.08%だった。

 以下、「名古屋銀行」が前年同期比17.0%増、「福島銀行」が同13.9%増、「福岡中央銀行」が同13.4%増、「仙台銀行」が同12.2%増と続き、伸び率上位10行のうち、第二地銀が8行を占めた。中小企業等向け貸出金の構成比トップは、「スルガ銀行」の97.57%(前年同期98.46%)。以下、「関西みらい銀行」93.91%(同94.27%)、「南日本銀行」93.91%(同93.75%)、「神奈川銀行」93.64%(同92.67%)、「静岡中央銀行」92.11%(同92.92%)の順だった。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210222_01.html