コロナ感染再拡大での企業景況感の特徴~信金中金

信金中央金庫がこのほど発表した「コロナ感染再拡大における企業景況感の特徴」と題したレポートによると、IHSマークイットが発表しているグローバル総合PMI(購買担当者景気指数の略で企業の景況感を示す経済指標)では、感染再拡大が始まった昨年11月以降も大きくは低下しておらず、世界の企業景況感の悪化が限定的となっていることが分かる。20年4月の第1波時には、同指数が26.2まで低下し過去最低を記録した。

しかし、今回の感染再拡大ではやや低下傾向にはあるものの、依然として好不況の境目となる50は上回った状態が続いている。直近20年1月の同指数も52.3と高めの水準を維持。企業景況感は小幅な低下にとどまっており、コロナ感染再拡大が世界経済全体に及ぼす悪影響は第1波時よりも小さくなるとみられる。もっとも、グローバル総合PMIを業種別にみると、感染再拡大以降、製造業よりもサービス業で景況感の低下が鮮明となっている。

同指数は20年10月時点でほぼ同じ水準(製造業:53.0、サービス業:52.9)だったが、足元20年1月には2ポイント弱(製造業:53.5、サービス業:51.6)の差が生まれている。程度の差はあれ、第1波と同様の傾向を確認することができる。こうした背景には、製造業では在宅勤務の普及などを通じてデジタル需要の追い風が吹いているのに対し、サービス業では移動制限の強化により消費が抑えられたことが影響したとみられる。

ただそれでも、第1波時と比べれば今回の感染再拡大時におけるサービス業のグローバルPMIの低下幅は小さく、好不況の境目となる50も下回っていない。しかし、国別にみると状況は異なる。グローバルPMIを国別に分けてみると、第1波時は、中国を除く全ての国のサービス業の景況感が20年4月に一斉に急落。対して、今回の感染再拡大の局面では欧州各国や日本、ブラジルなどで景況感が節目の50 を下回るまで悪化している。

半面、中国や米国、インドなどは小幅な低下にとどまり、50以上をキープ。こうした国ごとの企業景況感の違いは、第1波の経験を踏まえた防疫体制の整備状況の差や、感染者数と経済活動のバランスの取り方の差などが影響したとみられる。実際、中国では市中感染者が少しでも見つかれば、即座にその地域をロックダウンすることで感染拡大を未然に防いできたが、米国やインドでは政府が感染抑制より経済活動を優先する姿勢を取ってきた。

以上のように、今回の感染再拡大は全体として第1波時より企業景況感の悪化度合いは小さいものの、その影響が国ごとに大きく異なるという特徴を持つ。したがって、国によっては第1波ほどではないものの、ワクチンが普及するまでの間、サービス業を中心に相応の影響を受ける可能性がある。雇用吸収能力が高いサービス業が感染再拡大による2度目のマインド悪化に陥れば、雇用情勢の悪化が急速に進む恐れもあり、注意する必要がある。