東京商工リサーチがこのほど発表したところによると、2020年度の負債1000万円未満の企業倒産は、1月までの10ヵ月で529件(前年同期比24.1%増)に達し、前年度の513件を上回った。このペースで推移すると、2000年度以降で最多の2009年度(566件)を抜き、最多記録の更新する可能性がでてきた。負債1000万円以上の企業倒産が低水準で推移するなか、支援効果が浸透しない小・零細規模の息切れが浮き彫りになった。
緊急事態宣言の発令で外出自粛、営業時短などが直撃した2020年4~6月期は168件(前年同期比51.3%増)、7~9月期も187件(同36.4%増)と急増。「Gotoキャンペーン」が始まった10~12月期は141件(同7.6%増)と増加率が縮小し、2021年1月は33件(同29.7%減)と減少に転じた。ただ、再度の緊急事態宣言が発令になるなか、コロナ禍の厳しい経営環境で売上減少から抜け出せない小・零細企業は多い。
産業別では、「小売業」、「不動産業」を除く8産業で、前年同期を上回った。最多は、「サービス業他」の256件。倒産に占める構成比は48.3%で、ほぼ半数を占めた。「食堂、レストラン」(12→21件)、「酒場、ビヤホール」(10→16件)、「バー、キャバレー、ナイトクラブ」(6→19件)などの飲食業や「理容業」(ゼロ→5件)などで増加した。次いで、「建設業」76件、「小売業」53件と続く。
形態別では、「破産」が512件で最も多かった。倒産に占める構成比は96.7%。次いで、「民事再生法」が11件で、全てが個人企業の小規模個人再生手続きで、法人はなかった。このほか、「取引停止処分」、「特別清算」が各3件。負債1000万円未満は、体力が乏しい小・零細企業がほとんど。業績低迷が続くなかで、新型コロナによる業況悪化も加わり、先行き見通しも立たないことから消滅型の破産を選択している。
原因別では、「販売不振」が392件。倒産に占める構成比は74.1%で、前年同期より3.5ポイント上昇。次いで、「他社倒産の余波」が50件。また、「事業上の失敗」が29件。業歴が浅く、事業基盤を築くまでには至らず、業績低迷から抜け出せなかった企業も多い。そのほか、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が19件。「不況型」倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は414件で、約8割(構成比78.2%)を占めた。
同調査結果は↓