クリーニング業者、テレワーク定着等で業績が悪化

 帝国データバンクが発表した「クリーニング業者の経営実態調査」結果によると、2015年度から2019年度決算の収入高が判明したクリーニング業者1833社の収入高合計は、1016年度以降、4期連続で前年度比増加となり、2019年度の収入高合計は4245億4600万円(前年度比0.3%増)となった。価格改定による値上げや大手・準大手業者を中心に、新規出店や他社からの店舗譲受けなどによる店舗増が増収の背景にあるとみられる。

 2017年度から2019年度の収入高動向をみると、2019年度は「増収」企業が10.8%で、「減収」企業が16.5%。「横ばい」企業は72.7%と全体の7割強を占めた。2017年度及び2018年度と比較すると、「増収」の構成比が低下する一方、「横ばい」、「減収」の構成比が上昇するなど収入が伸び悩んでいる企業が増えている。なお、2017~2019年度の「3期連続増収」企業は2.3%となる一方、「3期連続減収」企業は1.2%となった。

 1833社を収入高の規模別にみると、「1億円未満」が59.0%と最多、次いで「1億~10億円未満」が37.3%となった。「1億円未満」が全体の約6割となるなど、個人事業主を含めた小規模業者が大半を占める。収入高の増減について収入高規模別(2019年度)にみたところ、「1億円未満」の小規模業者は増収企業が6.7%と1割に満たず、「横ばい」が76.2%と伸び悩んでいる業者が多くみられる。

 1833社のうち、新型コロナの影響が本格的に表れた6月~9月を決算とする企業で、2018 年から2020 年の収入高が、比較可能な432社をみると、2019年6~9月期は、減収企業が17.4%に対し、2020年6~9月期は減収企業が81.7%と8割強を占めるなど、新型コロナの影響で、テレワークが増えたことに伴い、ワイシャツやスーツなどのクリーニング需要が減少し、収入高が悪化した企業が大幅に増加したことが明らかとなった。

 1833社を地域別にみると、「関東」が31.5%と最も多く、次いで「九州・沖縄」の11.3%、「近畿」の11.2%と続いた。「関東」では人口の多い東京都をはじめ、神奈川県、千葉県、埼玉県など1都3県にクリーニング業者が多くみられた。業歴別にみると、「50~100年未満」が55.4%と最も多く、次いで「30~50年未満」が29.0%と続いた。新規参入は少なく、地場に根付き、築き上げた顧客基盤をもとに、業歴の長い業者が多い。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210204.pdf