政府は「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ」を目標に掲げているが、帝国データバンクが発表した「温室効果ガス排出抑制に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1479社)によると、温室効果ガスの排出抑制に取り組んでいる企業は82.6%と8割強にのぼった。規模別では、大企業が88.8%となり全体の数値を大きく上回り、また、中小企業は81.3%、小規模企業は76.1%と、企業規模による差が大きく表れている。
業界別では、「製造」が87.1%で最も高く、次いで「金融」(82.7%)、「建設」(82.6%)が続くなど、多くの業界で8割台となった。一方で、最も低い「サービス」でも78.6%となっており、突出して低い業界はみられなかった。また、取組み内容(複数回答)については、「省エネ」が43.0%で最も高く、次いで、「クールビズの実施(ウォームビズ含む)」(42.6%)や「ハイブリッド車、電気自動車の導入」(28.0%)などが続いた。
温室効果ガスの排出抑制に取り組む目的(複数回答)では、電気料金などの「コストの削減」が55.7%でトップ、次いで「法令順守」も48.9%で高い。また、「CSR(企業の社会的責任)の一環」(24.6%)や「SDGsへの対応」(22.7%)など、企業としての見られ方に関する項目では大企業で各37.5%、33.6%と割合が高く、「資格や認証の取得」(13.6%)や、「ステークホルダーとの良好な関係の構築」(8.5%)においても同様の傾向がみられる。
温室効果ガスの排出抑制への取組みにおける課題(複数回答)では、「他に優先すべき項目がある」が27.4%で最も高い。次いで、「主導する人材(部署)がいない」(26.9%)や「どこまで取り組めばいいのかわからない」(25.8%)、「取り組むためのノウハウやスキルがない」(24.5%)も2割台で続いている。企業からは、取組みに対して現状の景況感により難しいと考える意見が多くみられた。
政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」目標に対して、日本全体における達成可能性については、企業の15.8%が「達成可能」と考えていた。うち、「今以上の取組みをすることで達成可能」は13.3%、「現在の取組みで達成可能」は2.5%だった。一方で、「達成は困難」とした企業は43.4%にのぼり、「達成できない」は17.9%だった。企業からは、具体的な取組みのガイドラインや方法を求める意見が多くみられた。
同調査結果は↓