21年分確定申告からふるさと納税の手続きを簡素化

 2021年分の確定申告から、ふるさと納税の申告手続きが簡素化される。現行では、ふるさと納税で寄附金控除の適用を受けるためには、確定申告書に特定寄附金の受領者が発行する寄附ごとの「寄附金の受領書」の添付が必要とされているが、この寄附ごとの「寄附金の受領書」に代えて、特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付することで済むようになる。

 寄附金控除に関する証明書を発行することのできる特定事業者とは、地方公共団体と特定寄附金の仲介に関する契約を締結している者で、特定寄附金が支出された事実を適正かつ確実に管理することができると認められるものとして国税庁長官が指定した者とされている。昨年末現在で登録されている特定事業者は、「ふるなび」、「さとふる」、「楽天ふるさと納税」、「ふるさとチョイス」だが、今後登録数は増えていくとみられている。

 今年のふるさと納税から寄附者は、これらの特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄付金控除に関する証明書」を申告書に添付するだけで済むので、申告手続きが大幅に簡素化される。同証明書には、(1)寄附者の氏名、住所、(2)その年中の寄附者の寄附総額、(3)特定事業者が寄附を管理している番号、(4)寄附年月日、(5)寄附先の名称及び法人番号、(6)その他参考となるべき事項、が記載される。

 確定申告の際には、(1)特定事業者のポータルサイトからダウンロードした証明書データをe-Taxを活用して確定申告書に添付して送信、(2)特定事業者のポータルサイトからダウンロードした証明書データを国税庁が提供するQRコード付証明書等作成システムで読み込み、これをプリントアウトした書類を確定申告書に添付して申告、(3)郵送で交付を受けた証明書を確定申告書に添付して申告、のいずれかの方法により行うことになる。

 なお、(2)のQRコード付証明書等作成システムについては、2021年10月頃に更新し、「寄附金控除に関する証明書」の出力に対応する予定となっている。また、確定申告が不要な給与所得者等が利用できる「ワンストップ特例制度」には変更はない。ワンストップ特例制度とは、確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受けられる仕組み。ふるさと納税先の自治体が、1年間で5自治体までであれば、この制度を活用できる。