信金中央金庫が発表した「2021年の経営見通しに関する特別調査」結果(有効回答数1万3941社)によると、2021年の我が国の景気見通しは、「良い」と回答する割合が3.5%、「悪い」が85.5%となった。この結果、「良い-悪い」は▲82.0となり、1年前の調査(▲27.7)と比べて54.3ポイントと過去最悪の悪化幅となった。水準は、1992年の同調査開始以来の平均(▲56.1)を大きく下回ったものの、リーマンショック時の水準は上回った。
2021年の自社の業況見通しについては、「良い-悪い」が▲58.2となり、1年前の調査に比べて36.0ポイント悪化。悪化幅は過去2番目の水準で、同調査開始以来の平均(▲41.5)を大きく下回ったものの、リーマンショック時の水準は上回った。地域別では、中国、北海道、四国などで、とりわけ慎重な見通し。また、従業員規模別にみると、規模が大きいほどやや強気の傾向があった。業種別では、小売業で慎重な見通しが目立った。
2021年の自社の売上額見通し(伸び率)を「増加-減少」でみると、25.4ポイント低下の▲29.3となった。減少が増加を上回ったのは2年連続。地域別では、北海道で他地区と比較して慎重な見通しとなっている。従業員規模別では、200人未満で軒並みマイナスとなる一方、200人以上の階層ではプラスとなった。また、総じて規模が大きいほど強気の傾向がみられた。業種別では、小売業で慎重な見通しが目立った。
自社の業況が上向く転換点については、「1年後」が8.5ポイント上昇の23.3%、「2年後」が10.1ポイント上昇の19.0%。ともに割合は過去最大となった。一方、「すでに上向き」は5.6ポイント低下の9.6%、「業況改善の見通しは立たない」は15.8ポイント低下の18.4%と、ともに大きく減少した。従業員規模別にみると、従業員40人以上の階層では、軒並み「すでに上向き」が「業況改善の見通しは立たない」を上回っている。
しかし、39人以下の階層では正反対の結果となっており、業況改善は、規模による二極化の様子が大きいといえる。なお、コロナ禍において地域金融機関に求めるでは、「各種補助金・助成金等の活用支援」が58.6%と最多、以下、「ビジネスマッチング・顧客紹介」が37.4%と続いた。対して、「資金繰り支援以外に求めるものはない」は14.3%にとどまっており、多くの企業が資金繰り支援以外に何らかの支援を求めていることが分かる。
同特別調査結果は↓