教育資金、結婚・子育て資金の生前贈与の優遇を延長

 2021年度税制改正では、教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置が延長される。子や孫が祖父母など直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置は、その適用期限が2023年3月末まで2年間延長される。2013年4月から始まった同特例は、30歳未満で合計所得1000万円以下の子や孫を対象に、1人当たり1500万円を上限に非課税での贈与が認められている。

 今回の見直しでは、一部適用が厳しくなる。贈与した祖父母など贈与者が死亡した場合、これまでは、贈与から3年以内に死亡した場合の残高に相続税がかかっていたが、その死亡の日までの年数にかかわらず、受贈者がその贈与者から相続等により取得したものとみされる。ただし、その死亡の日において、受贈者が23 歳未満や学校等に在学中、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合は課税対象から除かれる。

 さらに、上記により相続等により取得したものとみなされる残額については、贈与者の子以外の孫が対象であれば、相続税額の2割加算の対象とされる。なお、同特例の対象となる教育資金の範囲に、1日当たり5人以下の乳幼児を保育する認可外保育施設のうち、都道府県知事等から一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けたものに支払われる保育料等を加える。これらの改正は2022年4月1日以後から適用される。

 一方、直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置についても、その適用期限が2年延長されるが、教育資金の場合と同様に、贈与者から相続等により取得したものとみなされる残額について、孫が対象であれば、相続税額の2割加算の対象とされる。この改正は、2022年4月1日以後から適用される。また、2023年4月1日以後は、受贈者の年齢要件の下限が18 歳以上(現行:20 歳以上)に引き下げられる。

 なお、2021年度の与党税制改正大綱によると、「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置については、贈与の多くが扶養義務者による生活費等の都度の贈与や基礎控除の適用により課税対象とならない水準にあること、利用件数が極めて少ないことなどを踏まえ、次の適用期限の到来時(2023年3月末)に、制度の廃止も含め、改めて検討する」こととされている。