2020年の宿泊業倒産118件、7年ぶりの100件台

 東京商工リサーチが12日に発表した「宿泊業の倒産動向調査」結果によると、2020年1年間の宿泊業の倒産は、前年から1.5倍増の118件に急増し、2013年以来、7年ぶりに100件台に達した。このうち、新型コロナウイルス感染拡大を要因とした倒産は55件発生し、宿泊業の倒産のほぼ半数を占めた。業種別の構成比では、新型コロナウイルス関連倒産件数トップの飲食業やアパレル関連を大きく上回り、最も高い。

 原因別では、「販売不振」が79件で最も多く、次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が22件、代表者の死亡など偶発的原因による「その他」が6件で続く。団体旅行を含む国内旅行者の減少により業績が低迷していた宿泊業者は、インバウンド需要による業績回復に期待を寄せていた。しかし、コロナ禍によってインバウンド需要が消失したため、先行きの見通しが立たず事業継続を断念した事業者が続出した。

 負債額別では、5億円以上の構成比が29.6%で、前年(22.6%)より7.0ポイント上昇した。内訳は、「5億円以上10億円未満」が18件(構成比15.2%)、「10億円以上」が17件(同14.4%)。一方、1億円未満の構成比は27.1%で、前年(37.3%)より10.2ポイント低下した。内訳は、「1千万円以上5千万円未満」が22件(構成比18.6%)、「5千万円以上1億円未満」が10件(同8.4%)だった。

 2020年の業種別倒産件数のうち、「新型コロナ関連倒産」が占める構成比は、「宿泊業」が46.6%で最も高かった。2位の「道路貨物運送業」(構成比34.4%)に12.2ポイントの差をつけた。新型コロナ関連倒産件数が最多の「飲食業」(138件、構成比16.3%)や「アパレル関連(製造・販売)」(76件、同16.0%)、旅行業や冠婚葬祭業を含む「その他の生活関連サービス業」(19件、同21.3%)を上回り、唯一40%台に達した。

 資本金別では、「1千万円以上5千万円未満」が50件(構成比42.3%)で、倒産全体の4割を占めたものの、構成比は前年より5.7ポイント低下。一方で、「1千万円未満」は54件(構成比45.7%)で、前年(27件)から2倍増となった。また、従業員数別では、「5人未満」が59件(前年37件)で最多。倒産に占める構成比は50.0%を占めた。一方、「50人以上300人未満」が6件(同1件)発生し、中堅規模への倒産の広がりをみせた。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210112_01.html