新型コロナウイルス感染拡大に伴い、1月7日に首都圏の1都3県を対象に、1ヵ月の実施期間で緊急事態宣言が発令された。実施期間中は、飲食店に酒類の提供を午後7時まで、営業時間を午後8時までに短縮するよう要請。コロナ禍で多くの会社や個人が「忘・新年会」などを控え、飲食店は年末年始の書き入れ時の売上が消失した。そこに再度の緊急事態宣言の発令は、当該地域の飲食店の経営に大きな打撃を与えかねない。
東京商工リサーチの調査によると、2020年の飲食業倒産(負債1000万円以上)は842件(前年比5.3%増)で、年間最多だった2011年の800件を上回り、過去最多を記録。このうち、緊急事態宣言の対象となる1都3県では212件(前年比3.9%増)にのぼった。新型コロナ感染拡大で、休業や時短営業を余儀なくされた「酒場、ビヤホール(居酒屋)」は174件(前年137件)と急増し、これまで最多の2012年(141件)を大きく上回った。
2020年2月、新型コロナ感染拡大で4月7日に7都府県に緊急事態宣言が発令され、16日には全国に拡大。休業や時短営業の要請で飲食業を取り巻く環境は悪化した。その後、国や自治体等による資金繰り支援や10月以降の「GoToイートキャンペーン」もあり、9月以降の倒産件数は減少に転じていたが、年末年始の売上落込みに加え、今回の緊急事態宣言の発令で、小・零細企業の多い飲食業は、倒産や廃業が加速する可能性が出てきた。
業種別では、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼き肉店などの「専門料理店」が201件(前年比4.6%増)で最多。以下、「食堂、レストラン」194件(同14.5%減)、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」174件(同27.0%増)と続く。増加率では、最高が「すし店」の前年比60.0%増(20→32件)。次いで、「そば・うどん店」の同46.1%増、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」の同27.0%増と続く。
在宅勤務などによる外食需要の低迷や、感染リスクへの意識の高まりで会食や接待需要が減少し、幅広い業態・価格帯の飲食店への影響が浮き彫りになった。特に、コロナ禍で自治体から休業や時短営業の要請を受けた「酒場、ビヤホール(居酒屋)」は174件で、過去最多だった2012年の141件を大きく上回っている。時短営業要請に加え、忘・新年会の自粛による売上消失で、経営基盤が脆弱な小・零細企業を中心に増加が懸念されている。
同調査結果は↓