帝国データバンクが、調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計した「全国企業の休廃業・解散動向調査」結果によると、2020年1~11月に全国で「休廃業・解散」が判明した企業(全国・全業種、個人事業主を含む)は5万1754件(前年同期比5.2%減)を数えた。しかし、各種支援で抑制傾向にあり、2年ぶりに減少する見込み。業種別では、小売・サービスなどは減少、観光バスなど運輸関連は大幅に増加した。
「休廃業・解散企業」とは、倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態の確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(ただし「みなし解散」を除く)を確認した企業をいう。2020年は前年に続き11月時点で5万件を超え、倒産件数の7倍超の規模で推移しているが、2020年の休廃業・解散は総じて減少ペースで推移しており、年間では2年ぶりに前年(5万9225件)を下回る見込み。
2020年は新型コロナの感染拡大、緊急事態宣言の発令などで国内外の経済活動が急激に収縮。特に飲食店や宿泊業などサービス業では経営環境が極度に悪化したため、当初はこうした事業者を中心に廃業などの淘汰が加速度的に進むとみられた。しかし、持続化給付金事業やGo To事業といった政府による経済対策、特例融資や弁済リスケジュールの柔軟な運用など金融機関による手厚い支援が中小企業の経営を強力に下支えしている。
そのため、企業の景況感は依然低調であるものの、事業を自主的に畳む企業の休廃業・解散については倒産と同様、発生が大きく抑制された。業種別では、7業種中6業種で前年同期から減少。最多は「建設業」の6595件で、前年同期から4.0%減少した。以下、「サービス業」が6209件、「小売業」が3963件、「卸売業」が3372件と続いた。一方、「運輸・通信業」(613件)は全業種で唯一前年同期を大幅に上回った。
「運輸・通信業」は、年間を通して需要が大きく後退した観光バス事業者(一般貸切旅客自動車運送業)などで前年を上回って推移しており、運輸・通信業全体の件数を押し上げている。
同調査結果は↓