東京商工リサーチが発表した「新型コロナに関する調査」結果(有効回答数1万657社)によると、コロナ禍の収束が長引いた場合、「廃業」(全ての事業を閉鎖)を検討する可能性が「ある」は6.8%、「ない」は93.1%だった。「ある」は前回調査(2020年11月9日~16日)より0.3ポイント悪化。規模別では、大企業で「ある」と回答した企業は0.7%にとどまるのに対し、中小企業では8.1%(前回7.7%)と悪化に転じ、再び8%台となった。
廃業を検討する可能性が「ある」企業を業種別にみると、構成比が最も高かったのは「飲食店」の32.7%で、前回調査から9.3ポイント増加し、全業種で唯一3割を超えた。以下、「その他の生活関連サービス業」の25.0%、「宿泊業」の23.6%、「道路旅客運送業」の21.7%、「織物・衣服・身の回り品小売業」の21.2%と続き、これら5業種は、いずれも個人客主体に事業を展開しており、個人消費の落込みが経営を直撃していることを物語る。
新型コロナウイルスに関連した、国や自治体、金融機関の各種支援策を「利用した」は55.0%だった。「今後利用する可能性がある」は8.4%で、合計63.5%の企業が利用について言及している。規模別では、大企業の「利用した」は29.5%に対し、中小企業は60.0%だった。資金繰り支援策を「利用した」と回答した企業を業種別でみると、最も利用率が高かったのは「道路旅客運送業」の 96.3%で、唯一9割を超えた。
次いで、「印刷・同関連業」が88.8%で、前回調査より9.5ポイント増加。また、旅行や葬儀、結婚式場などを含む「その他の生活関連サービス業」は 87.9%、「飲食店」は 87.6%、「宿泊業」は85.7%、「織物・衣服・身の回り品小売業」は83.7%で、コロナ禍での外出自粛の影響を受けている業種が上位に並んだ。以下、「金属製品製造業」(76.0%)、「繊維・衣服等卸売業」(75.7%)、「娯楽業」(74.0%)などが続く。
国や自治体、金融機関の資金繰り支援策の内容については、最も多かったのが「民間金融機関の実質無利子・無担保融資(信用保証付き)」の51.0%。これまで利用率トップだった「雇用調整助成金」は50.2%だった。以下、「持続化給付金」の50.0%、「日本政策金融公庫による実質無利子・無担保融資(新型コロナウイルス感染症特別貸付)」34.9%と続く。「家賃支援給付金」は20.5%にとどまっている。
同調査結果は↓