三井住友DSアセットマネジメントがこのほど発表した2021年の日本株見通しによると、多くの国々で景気に配慮した政策が継続され、日本株は世界的な景気の回復と業績の持ち直しを一段と織り込む形で上昇局面に入ると予想している。相場環境の観点からは、流動性相場と金融相場が続くなかで、次第に適温相場が形成され、金融相場が業績相場に移行して株価を押し上げる、という見通しを示した。
2021年12月末時点のTOPIXは、1株あたり予想利益(EPS)を120円、株価収益率を17倍と想定し、2040ポイントに設定した。なお、TOPIX構成企業の経常利益は、2020年度が前年度比-15%(従来の見方を維持)、2021年度は同+20%(今回5%ポイント上方修正)を前提としている。一方、日経平均株価は、NT倍率を14.8倍と想定し、2021年12月末の着地を3万200円に設定した。
2021年も、株式市場の基本的な方向性については、コロナの感染動向と各国の政策対応がカギを握るとみている。株式市場にとって、ワクチンの普及でコロナの感染が収束に向かうことは好ましいことだが、それによる景気回復があまりに強すぎる場合は注意が必要だ。金融緩和終了の見方から流動性相場や金融相場も終わるとの懸念が強まれば、株価急落の恐れもあるため、この状況では中央銀行による市場との対話が重要となる。
また、ワクチンに何らかの問題が発生した場合や、コロナの感染が更に拡大した場合も、警戒が必要だ。株式市場が織り込む景気や業績の回復期待は修正を余儀なくされるため、株価の調整は比較的大きなものになるとみている。この状況では、追加的な金融緩和や景気対策が迅速に発動されるかがポイントになる。これらはあくまでリスクシナリオだが、実現した場合、予想レンジ下限までの調整はみておく必要があるとの考えを示している。
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https://www.smam-jp.com/documents/www/market/ichikawa/irepo201221.pdf