東京商工リサーチがこのほど発表した「未上場企業の業績見込調査」結果によると、2021年3月期の売上高は、未上場企業の63.9%と6割強が「減収」を見込んでいることが分かった。また、「減益」見込みは経常利益で61.7%、当期純利益で63.9%に達した。2020年3月期(14万9232社)は「増収」46.9%、「減収」45.3%、「増益」44.2%、「減益」47.4%だっただけに、新型コロナ感染拡大が業績の重しになっている。
一方、「増収」は4割弱(同36.0%)にとどまった。経常利益の予想は「減益」が61.7%。当期純利益の予想も「減益」が63.9%に達した。「3%未満減益」(構成比40.6%)、「3%以上減益」(同23.3%)で、経常利益より「3%以上減益」比率が改善したが、これはコロナ支援の給付金などが背景にあるようだ。なお、2020年3月期実績で中小企業の増収率は46.9%、増益率は44.2%で、2021年3月期の業績予想は著しい悪化が見込まれる。
売上高予想で「増収」比率が最も高かったのは、「農・林・漁・鉱業」(構成比50.5%)で、半数が増収見込み。次いで、「金融・保険業」(同49.3%)、「情報通信業」(同48.4%)、「建設業」(同44.0%)の順。一方、最低は「製造業」(同28.1%)だった。「減収」予想では、「製造業」の7割(同71.8%)が最も高かった。新型コロナで工場休止など生産活動の停滞や需要減などの影響が大きかったとみられる。
経常利益予想で「増益」は、「情報通信業」が47.9%と約半数が増益予想。「減益」は「製造業」(構成比67.5%)が最も高かった。次いで、「小売業」(同65.4%)、「卸売業」(同65.0%)と売上高の落込みが収益に直結している。当期純利益予想では、「増益」は「建設業」(同44.9%)が最高。新型コロナで工期延長などはあったが、人手不足感の解消で利益を押し上げるようだ。一方、「減益」は、「製造業」(同69.4%)が最も高かった。
資本金別では、「増収」比率が最も高かったのは「100万円未満」(構成比49.6%)。次いで、「個人企業他」(同43.0%)、「100万円以上1000万円未満」(同40.2%)と続く。「減収」比率では、「5000万円以上1億円未満」(同67.5%)が最も高く、次いで、「1億円以上」(同66.0%)、「1000万円以上5000万円未満」(同65.9%)と続く。資本金が大きい中堅企業は売上高も利益も落込み予想が多く、資本金の小さな企業は善戦する結果だった。
業種別の売上高予想では、「増収」は「電気・ガス・熱供給・水道業」(構成比64.4%)やスーパーマーケットなどの「各種商品小売業」(同54.6%)が上位で、新型コロナで在宅率が高まり生活に欠かせない事業が高比率だった。「減収」は、「宿泊業」の85.0%が減収予想と影響が深刻だ。次いで、「輸送用機械器具製造業」(同83.9%)、「印刷・同関連業」(同82.4%)と続く。
同調査結果は↓