帝国データバンクが発表した「2021年の景気見通しに対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1363社)によると、2020年の景気動向は、「回復」局面であったと考える企業は3.4%にとどまり、2019年の景気動向から0.3ポイント減少し、3年連続で一ケタ台となった。他方、「踊り場」局面は24.8%で、前年の半数近くまで減少。また、「悪化」局面は同24.8 ポイント増の56.0%で、2012年以来8年ぶりの5割台へと上昇した。
2021年の景気については、「回復」局面になると見込む企業は2020年の景気見通し(2019 年11月実施)から7.0ポイント増の13.8%となった。また、「踊り場」局面は28.7%と2020 年見通し(32.8%)より減少。「悪化」局面は32.4%と3割を上回り依然として高水準。「回復」局面と見込む企業を業界別にみると、「製造」(17.3%)や「運輸・倉庫」(16.6%)が高い。対して、「悪化」局面では「建設」(44.8%)と「不動産」(40.4%)の高水準が目立つ。
2021年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料(3つまで回答)は、新型コロナなどの「感染症による影響の拡大」が57.9%で突出して高く、次いで、「雇用(悪化)」(21.0%)や「所得(減少)」(19.2%)、「米国経済」(19.0%)などが続いた。また、2019年まで3年連続で5割近くの企業が懸念材料にあげていた「人手不足」は、11.1%と大幅に減少しており、新型コロナによる業務量の減少などの影響を受け、変化が表れていた様子がうかがえる。
今後、景気が回復するために必要な政策(複数回答)は、「感染症の収束」が58.0%でトップとなり、突出して高かった。次いで、「中小企業向け支援策の拡充」(31.6%)が3割超となり、「個人消費の拡大策」(25.0%)、「雇用対策」(22.5%)、「法人向け減税」(21.1%)、「公共事業費の増額」(20.3%)が2割台で続いた。また、新型コロナの影響で2021年に延期となった「東京五輪の開催」(16.6%)も上位に挙げられている。
アメリカ大統領選挙で民主党候補のバイデン氏が当選確実となったが、もしバイデン氏がアメリカの新大統領に就任した場合、日本経済に与える影響については、「プラスの影響」が17.2%となり、「マイナスの影響」の14.2%を上回ったものの、いずれも1割台となった。「影響はない」は27.2%。「分からない」(41.4%)が4割を超えており、現時点では影響を捉えかねている様子がうかがえる。
同調査結果は↓