今春初任給を据え置いた企業は3年ぶりの50%超

 日本経団連がこのほど発表した「2020年3月卒の新規学卒者決定初任給調査」結果(有効回答数497社)によると、今年3月に卒業した新規学卒者の新入社員の初任給を前年より「引き上げた」企業は42.6%と、前年に比べ14.6ポイント低下したものの、2014年以降7年連続して40%超の水準となった。内訳としては、「求人段階では前年の初任給を示したが、賃金改定後引上げた」が73.7%と大勢を占める傾向に変化はない。

 一方、初任給を据え置いた企業の割合は、1994年(17.6%)~2003年(91.4%)にかけて多少の変動をしながら増加。04年(88.3%)~08年(52.0%)は景気回復等により減少傾向となったが、08年秋からの世界同時不況等の影響で09年(87.0%)に急増し、以降10年から13年まで4年連続で9割を超えていた。今年は、19年(42.4%)から15.0ポイント増加して57.4%まで上昇し、2017年以来3年ぶりに50%を上回った。

 初任給の決定に当たって最も考慮した判断要因は、「世間相場」(27.8%)が最も多く、それ以降の順位も前年と変わりはない。しかし、「在籍者とのバランスや新卒者の職務価値」(25.1%、前年比4.0ポイント増)と「企業業績を勘案」(6.8%、同2.5ポイント増)が前年より増加した一方、「人材を確保する観点」(16.7%、同4.2ポイント減)と「賃金交渉の結果による配分」(11.7%、同2.4ポイント減)は減少するなどの変化がみられた。

 学歴別の初任給の引上げ額は、「大学卒・事務系」1531円(前年比121円減)が最も高く、次いで、「大学院卒・事務系」1522円(同318円減)、「高校・現業系」1411円(同269円減)、「高校・技術系」1400円の順となっており、全学歴で対前年引上げ率が若干減少した。引上げ率は、0.55%~0.83%と、前年(0.72%~1.11%)より下方へシフトしており、すべての学歴で1%未満となった。

 初任給の推移をみると、2014年以降は業績の回復・拡大によって増加傾向にあった。2020年調査では、対前年引上げ率が若干減少したものの、大学卒(技術系)を除いて0.7%を超える水準となった。前年からの減少幅が最も大きいのは、短大卒(事務系)の0.34%減(1.08%(19年)→0.74%(20年))だった。短大卒(事務系)は、「3000人以上」規模の初任給額を100としてみると、全ての規模で100を上回っている。

 同初任給調査は↓

https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/121.pdf