中小経営者の78%が「コロナ禍でストレスが増加」

 大阪シティ信用金庫が府内の取引先企業を対象に11月上旬に実施した「コロナ禍の中小企業における労働時間の状況と経営者のストレス等調査」(有効回答数1303社)によると、従業員の労働時間の状況は、「長くなった」(3.8%)はごく少数で、逆に「短くなった」(39.2%)が約4割と多い。「短くなった」から「長くなった」を差し引いた「短時間化傾向値」は35.4ポイントで、従業員の実労働時間は全体として短くなる傾向が認められる。

 業種別でみると、「長くなった」とする割合は、全業種で5%未満と低い。一方、「短くなった」とする割合は、5割を超えた「運輸業」(52.3%)と「製造業」(50.2%)と、2割台の「建設業」(25.2%)と「サービス業」(26.0%)とで大きな差異がみられる。「短時間化傾向値」でみても全業種でプラスとなっているが、とくに「運輸業」(47.6ポイント)と「製造業」(46.7ポイント)で高く、実労働時間の短くなる傾向が強い。

 従業員の実労働時間が長くなった理由(複数回答)は、「受注・販売の増加等、業績向上に対応するため」(67.3%)が圧倒的に多く、6割を超えた。一方、従業員の実労働時間が短くなった理由(複数回答)では、「受注・販売の低迷等で仕事量が減少したため」(68.9%)が約7割で最も多く、次いで、「コロナ対応で営業時間や操業時間自体を短縮しているため」(59.4%)が約6割で続いており、コロナ禍の影響が色濃く出る結果となった。

 経営者の実労働時間の状況については、「長くなった」経営者(10.8%)が約1割であるのに対し、「短くなった」経営者(22.9%)は2割を超え、多くなっている。経営者の実労働時間も全体として短くなる傾向がみられるが、従業員ほど労働時間の短時間化は進んでいない。新型コロナウイルス感染症の影響で、従業員には仕事を早く切り上げさせながらも、自らは居残り仕事をする経営者の姿が垣間見える。

 コロナ禍以前と比べた現在の経営者のストレス状況は、「非常に増えた」(27.0%)と「少し増えた」(51.0%)とを合計した「増加」した経営者は78.0%にのぼる。さらに、「今後増えそう」も13.5%あり、「以前と変わらない」は8.5%に過ぎない。新型コロナウイルス感染症拡大により、多くの中小企業経営者が大きなストレスを抱えている現状が明らかになった。コロナ禍が長期化している今、コロナストレスの緩和に向けた対応が望まれる。

 同調査結果は↓

https://www.osaka-city-shinkin.co.jp/houjin/pdf/2020/2020-12-02.pdf