20~24年度平均成長率は名目1.0%実質0.4%と予測

 信金中央金庫がこのほど発表した日本経済の中期展望によると、新型コロナウイルスの感染拡大は、国内外の経済活動に大きな影響を及ぼしている。足元、ワクチン開発が進むなど前向きな動きもみられるが、世界規模での実用化には時間を要すると見込まれる。中期展望では「複数年にわたり、国内外において感染拡大期が幾度か到来し、22年度中まで経済活動が抑制された状態が続く」ことを前提に、中期的な先行きを展望している。

 世界経済の成長ペースは中期的にも緩慢と予想。感染収束までに複数年を要すると前提すれば、世界経済の成長ペースは中期的にも緩慢なものとなる。米国ではGDPの約7割を占める個人消費が伸び悩むと見込まれ、20年から24年までの実質成長率は年平均で1%台前半となる。中国経済は、予測期間中に潜在成長率並みの成長を取り戻すと見込むが、米中対立の構図が継続する可能性が高い点はリスク要因とみる。

 世界経済の成長ペースは緩慢と予想され、輸出の回復の程度は限られる。また、サービス関連分野を中心に、個人消費が停滞した状態は当分続くと見込まれる。20年度から24年度までの年平均実質成長率は0.4%と、過去5年の平均成長率(0.9%)を下回ると予想。企業の投資行動も抑制気味となろうが、感染症の拡大を契機に、社会変容の流れが速まると見込まれる。合理化・省力化投資、デジタル関連投資が広がりをみせるかがポイントとなる。

 国内外を問わず、景気回復のペースは緩慢と見込まれ、物価の基調は弱い状態が続く。また、感染拡大期が幾度か到来する可能性も排除できず、この点、企業に対する資金繰り支援策を継続する動意となる。主要国・地域の中央銀行は、複数年にわたり緩和的な金融政策を維持すると予想。低金利局面が長期化した場合、金融不均衡の拡大など様々な弊害が生じる恐れがある。金融不況の再来を現実化させないためにも、コロナ禍の早期収束が望まれる。

 日本経済の中期展望の全文は↓

https://www.scbri.jp/PDFnaigaikeizai/scb792020y05.pdf