新規開業費用は過去最少の平均989万円~日本公庫

 経営者の開業時の年齢は、「40歳代」が38.1%と最多、次いで「30歳代」が30.7%と、両年代が開業の担い手となっていることが、日本政策金融公庫が発表した「2020年度新規開業実態調査」結果(有効回答数1597社)で分かった。全体の平均は43.7歳で8年連続上昇し、調査開始以来最高となった。調査は、同公庫が2019年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業1年以内の企業を対象に実施したもの。

 開業者に占める女性の割合は、前年から2.4ポイント上昇の21.4%と、増加傾向にあり、調査開始以来最も高い割合となった。開業業種については、「サービス業」が26.4%で最も多く、次いで「医療、福祉」(16.7%)、「飲食店、宿泊業」(14.3%)、「小売業」(11.8%)などの順で、地域に根差して営業する業種が多い。開業時の平均従業者数は3.2人、調査時点(7月)の平均従業者数は3.9人となっており、開業時から0.7人増えた。

 開業費用の分布をみると、「500万円未満」の割合が43.7%を占めて最も多く、次いで「500万円~1000万円未満」が27.3%、「1000万円~2000万円未満」が18.2%、「2000万円以上」が10.8%となっており、1000万円未満での開業が71.0%と約7割を占める。開業費用の平均値は989万円、中央値は560万円だった。開業費用の平均値は、昨年から66万円減少し、1991年度の調査開始以来、最も少なくなった。

 開業時の資金調達額は平均で1194万円となり、2019年度より43万円減少し、調査開始以来、最も少なかった。資金の調達先に関しては、「金融機関等からの借入」が平均825万円(平均調達額に占める割合は69.1%)、「自己資金」が平均266万円(同22.2%)となっており、両者で全体の約9割を占めている。最近は「自己資金」の割合が減少傾向にあるが、今回は前年度より4万円の微増となった。

 なお、新型コロナウイルス感染症によるマイナスの影響を「受けた」との回答割合は80.2%にのぼった。業種別にみると、「飲食店・宿泊業」(97.4%)や「教育・学習支援業」(94.7%)、「運輸業」(92.7%)で特に高く9割を超えている。影響の内容(複数回答)は「売上が予定より減った」(82.3%)が最も多く、「利益が予定より減った」(61.8%)、「営業を一部自粛した」(38.6%)が続く。

 同調査結果の概要は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_201119_1.pdf