自然災害対策を進めている企業は4割弱にとどまる

 2020年は、九州地方や中部地方を中心とした「令和2年7月豪雨」や、台風9号・10号などにより各地でさまざまな被害が発生したが、帝国データバンクが発表した「自然災害に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1448社)によると、自然災害への対応状況は、「十分に対応を進めている」企業は1.8%、「ある程度対応を進めている」は35.1%となり、合計すると企業の36.9%と4割弱にとどまる結果となった。

 一方で、「あまり対応を進めていない」(41.7%)と「ほとんど対応を進めていない」(17.4%)を合わせると59.1%が『対応を進めていない』ことが明らかとなった。規模別でみると、大企業では54.9%が自然災害への対応を進めている一方で、中小企業は33.0%、小規模企業は25.7%と、対応状況に大きく差が開いている。とりわけ、小規模企業では対応を進めていない企業が69.5%となり約7割にのぼっている。

 自然災害への『対応を進めている』企業を都道府県別にみると、「高知」、「宮崎」(ともに47.7%)が最も高い。次いで、「和歌山」(47.6%)、「栃木」(45.5%)と続いた。特に高知県はBCP(事業継続計画)を策定している割合においても全国で最も高く、総じて災害への意識は他地域より高い傾向がみられる。また、大地震の発生が予想されている太平洋側に位置する地域において、割合が高くなる傾向がうかがえた。

 自社が最も警戒している自然災害については、「地震」が55.0%で最も高く、企業の半数超となった。次いで、洪水や豪雨などの「水害」(19.5%)、台風や竜巻などの「風害」(9.1%)、「津波」(4.8%)が続いた。地域差も目立ち、地震は南関東や東海地方といった太平洋沿岸部で、水害は北関東や北陸、中国・四国地方で、風害は近畿や九州地方で、最も警戒する割合が高くなっている。

 自社が取り組んでいる企業防災(複数回答)では、「社内連絡網の整備」(61.5%)がトップ。次いで、「非常時向けの備品の購入」(45.4%)、「飲料水、非常食などの備蓄」(42.8%)が4割を超え、「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」(33.4%)、「防災・避難訓練の実施」(30.5%)なども高い。一方で、「地方自治体との連携強化」(7.7%)、「地元企業との関係強化」(4.4%)、「地域住民や学校との関係強化」(2.8%)は低位にとどまった。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p201102.pdf