日本経団連は4日、雇用調整助成金特例措置のさらなる延長に関する要望を発表した。それによると、コロナ禍による経済低迷が続くなか、雇用調整助成金の支給実績は、10月末時点の累計で、167万件、2兆円を超えた。9月の完全失業率が3.0%と、リーマンショック時(2009年5.5%)と比べて低水準であることに鑑みると、失業予防対策として有効に機能してきたと言えると雇用調整助成金の効果を指摘した。
雇調金新型コロナウイルス感染症特例措置は 12月末までとされているが、感染症収束の道筋は未だついておらず、経済の先行きは不透明で、今後の雇用情勢は予断を許さないとして、依然として、企業のニーズが強いことから、雇用情勢を慎重に見極めながら、本則への段階的な移行を見据えつつも、特例措置の延長を求めている。一方、雇調金が想定以上に活用され、雇用保険二事業に係る雇用安定資金財源の枯渇化は必至と指摘。
今回の国難とも言うべき経済危機は全国規模の感染症拡大によるものであり、必要となる失業予防対策は、事業主連帯との考え方の下、雇用主の雇用保険料で賄う雇用調整助成金の域を超えている。こうしたことから、特例措置の延長に際しては、失業の急増など社会不安の増幅を回避し、国民生活を守る観点から、雇調金全体に要する費用として、一般財源を思い切って投入すべきであるとした。
また、雇用維持の観点から、経済が回復しない段階での雇用保険料率の引上げを避けるべきだと主張している。全国レベルの感染症拡大や大規模自然災害等における失業予防対策については、全額事業主負担の雇調金を基本とした現行の仕組みでは限界がある。今後、今回の雇調金の効果等を検証し、一般財源等を思い切って投入した新たな仕組みを検討すべきであるとの考えを示した。