厚生労働省ではこのほど、「人口減少社会における医療・福祉の利用に関する意識調査」結果をとりまとめ公表した。この調査は、「2020年版厚生労働白書」の作成に当たっての基礎資料を得ることなどを目的に、2019年12月に実施したもの。調査では、人口減少社会における医療や福祉の利用に関する質問について、回答者を年齢階層別と地域別(都市部または都市部以外)に分類し、合計3000人から回答を得た。
調査結果によると、現在居住している市町村における居住年数では、「20年以上」が59.8%と最も多く、「10年以上20年未満」が16.5%と、概ね、年数が短くなるほど割合は低い。今後の居住予定として「今住んでいる市町村や近隣市町村に住み続けたい」とする割合は、全体では62.1%、18~44歳の若い世代に限っても49.5%。18~44歳は進学や就職、結婚等のライフイベントに伴う転居が生じる時期であることが考えられる。
医療・福祉のアクセス可能範囲(片道の通院・通所にかけられる最大時間)の認識をみると、「日常的にかかる診療所」や「毎日~週数回利用する福祉サービス」などでは、7~8割が「30分未満」としており、特に「診療所」については「30分未満」とする割合が最も高い。一方、「手術や検査を受ける大きな病院」では「30分未満」は約4割にとどまり、「30 分~1時間以内」が約4割、「1時間~1時間半以内」も約1割となっている。
「入院する病院、入所する福祉施設」や「不定期に利用する福祉関係の相談窓口」では、「30分未満」が5~6割、「30分~1時間以内」が3~4割。通院・通所にかけられる時間(最大)は、それぞれの施設の機能に応じて想定する利用頻度が異なることで、こうした違いが生じているとみられる。また、通院・通所にかけられる最大時間は、回答者本人が通院・通所する場合と、回答者本人が家族を連れて行く場合とで大きな違いはない。
暮らしやすいまちづくりへの関わり(既にしていること、これからしようと思うこと)では、「既にしている」、「これからしようと思う」のいずれも、「日常生活の困りごとについて、友人・知人同士で助け合う」、「日常生活の困りごとについて、近隣住民同士で助け合う」、「日常生活の手助けや見守りなどのボランティア活動をする」の順となっているが、「自分自身が関われることはないので何もしない」が、40%台半ばと最も高い。
同調査結果は↓