上半期の飲食店倒産は392件、上半期では過去最多

 帝国データバンクがこのほど発表した「飲食店の倒産動向調査 」結果によると、2020年度上半期(4月~9月)における飲食店事業者の倒産は392件発生し、半期としては2019年度下半期(409件)に次ぐ2番目、上半期としては過去最多となった。通年での過去最多は2019年度の784件となっているが、このままのペースで倒産が発生すると、2020年度も過去最多を更新する可能性がある。

 業態別で内訳をみると、2020年度上半期は、居酒屋やビヤホールのほか、焼き鳥店、おでん店、もつ焼き店などを含む「酒場・ビヤホール」が98件(構成比25.0%)で最多、次いで、ラーメン店、カレー店、焼肉店、餃子店などを含む「中華・東洋料理店」の55件、レストラン、フランス料理店、イタリア料理店などを含む「西洋料理店」の54件、てんぷら店、うなぎ店、とんかつ店、沖縄料理店などを含む「日本料理店」の40件が続く。

 負債額別にみると、2020年度上半期は「5000万円未満」の小規模な倒産が構成比79.6%(312件)となった。次いで、「5000万円~1億円未満」が11.2%(44件)、「1億円~5億円未満」が7.9%(31件)となっている。通年でみると、2015年度以降5年連続で「5000万円未満」が8割超となっているなか、 2020年度上半期は8割を僅かに下回っている。また、2012年度以降は負債50億円超の大型倒産は発生していない。

 飲食業界は、従前から人手不足や後継者問題、改正健康増進法の施行など、複合的な課題 を抱えており、2019年度の倒産件数は過去最多の784件だった。こうしたなか、2020年は新型コロナウイルスの感染が拡大。引き続き厳しい業界環境となった2020年度上半期の倒産件数は392件となり、上半期として過去最多だった。また、このペースで倒産が発生した場合は2020年度の年間倒産件数が過去最多となる可能性がある。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響は、2020年度下半期においても引き続き飲食業界に波及していく恐れがある。こうした影響を緩和すべく、政府は金融支援策を打ち出したほか、GoToEatキャンペーンの実施など積極的な支援を進めているが、インバウンド消失など多大な影響があるなかで抜本的な問題解決に至る蓋然性は低いとみられる。今後も飲食店の倒産動向が注目される。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p201004.pdf