経済産業省はこのほど、消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査の7月調査結果を公表した。同省では、2014年4月の消費税率引上げを踏まえ、転嫁状況を定期的にモニタリングするため、同年4月から転嫁状況に関する事業者へのアンケート調査を実施しており、現在まで引き続き、監視・取締りを強化し、転嫁拒否の未然防止、違反行為への指導など迅速な是正を行っている。
7月調査結果(有効回答数1万223事業者)によると、消費税の転嫁状況について、事業者間取引では90.3%、消費者向け取引では81.0%と、8~9割弱の事業者が「全て転嫁できている」と回答し、前回(2月調査)比でそれぞれ+1.8ポイント、+2.1ポイントだった。「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、事業者間取引では1.4%、消費者向け取引では2.7%で、前回比ではそれぞれ▲0.4ポイント、▲0.5ポイントだった。
事業者間取引において転嫁できた理由としては、60.0%の事業者が「以前より、取引先において、消費税分の価格引上げを受け入れる、という理解が定着している」と回答。次いで、「消費税転嫁対策特別措置法により消費税転嫁拒否行為が禁止されている」が33.8%、「本体価格と消費税額を分けることにより、交渉しやすくなった」が21.7%、「自社商品のブランド・競争力が強く、価格決定権が自社にある」が5.7%などとなっている。
取引先から受けた転嫁拒否行為については、実際に転嫁拒否行為を受けたと回答した133社の事業者のうち、「価格交渉時に消費税率引上げ分の全部又は一部の上乗せ拒否」と回答した事業者が41.4%で最も多く、次いで「本体価格での交渉拒否」が30.8%。また、「全て転嫁できている」と回答した事業者の割合を業種別にみると、「卸売業」が95.7%で最も高く、「建設業」が95.2%で続き、最も低い「サービス業」では84.7%だった。
一方、消費者向け取引において転嫁できた理由としては、73.8%の事業者が「消費者において、消費税率引上げの意義等に対する理解が浸透したため」、次いで、「本体価格と消費税額を分けて記載することにより、値上げへの反発が和らいだため」が25.2%。また、「全て転嫁できている」事業者の割合を業種別にみると、「建設業」が93.2%、「運輸業、郵便業」が92.9%、「卸売業」が92.3%の順。最も低い「サービス業」は71.0%だった。
同調査結果は↓
https://www.meti.go.jp/press/2020/10/20201012002/20201012002-1.pdf