負債1千万円未満の企業倒産、通年で最多の可能性も

 東京商工リサーチが発表した2020年1~9月の「負債1000万円未満の倒産調査」結果によると、同期の「負債1000万円未満」の企業倒産は、489件(前年同期比28.3%増)だった。四半期別では、1~3月は134件(同0.7%増)と微増も、4~6月168件(同51.3%増)、7~9月187件(同36.4%増)と急増。月平均54件で推移し、10月には2000年以降で通年最多だった2010年の537件を抜き、年間600件台に乗せる可能性も出てきた。

 産業別では、10産業のうち、小売業、不動産業を除く8産業で前年同期を上回った。最多は「サービス業他」の234件(構成比47.8%)で、ほぼ半数を占めた。「飲食業」(45→79件)、理容業を含む「生活関連サービス業、娯楽業」(23→32件)などで、増加が目立った。次いで、「建設業」69件(構成比14.1%)、「小売業」48件(同9.8%)、「卸売業」46件(同9.4%)、「情報通信業」44件(同8.9%)と続く。

 増加率では、「卸売業」が142.1%増(19→46件)で最も高く、次いで、「農・林・漁・鉱業」50.0%増(2→3件)、「サービス業他」47.8%増(160→234件)、「情報通信業」37.5%増(32→44件)、「運輸業」33.3%増(9→12件)の順となった。また、形態別では、「破産」が474件(前年同期比27.4%増、前年同期372件)。倒産に占める構成比は96.9%(前年同期97.9%)で、前年同期より0.7ポイント低下した。

 次いで、「民事再生法」の11件で、全てが個人企業の小規模個人再生手続きで、法人の手続きはなかった。このほか、「取引停止処分」3件、「特別清算」1件。負債1000万円未満では、企業体力が乏しい小・零細企業が多く、業績低迷から抜け出せず、事業継続を断念し、消滅型の破産を選択するケースが多い。また、代表者の個人破産に合わせた法人の処理、代表者の死亡や体調不良、長年にわたり実質的に休眠状態だった企業の整理も散見される。

 原因別は、「販売不振」341件(前年同期比14.8%増、前年同期297件)で、最も多かった。倒産に占める構成比は69.7%(前年同期77.9%)で、前年同期より8.2ポイント低下した。次いで、「他社倒産の余波」が59件(同118.5%増、同27件)。グループ内の中核企業に連鎖するケースが大半。「事業上の失敗」は34件(同54.5%増、同22件)で、業歴が浅く、事業基盤を築くまでには至らなかった企業も多い。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20201008_05.html