東京商工リサーチが発表したレポートによると、ゴルフ場の倒産が激減している。ゴルフ場の倒産は2002年にピークの108件に達したが、今年1~9月のゴルフ場倒産は全国で1件にとどまっている。景気低迷と若者のゴルフ離れを背景に、過剰債務と売上減、会員権償還で多くのゴルフ場は青息吐息に陥っていた。そこにコロナ禍が襲ったが、これが屋外スポーツのゴルフにフォローの風となった。
新型コロナ感染拡大で在宅勤務が広がり、社内だけでなく、取引先との商談もリモートが増えた。“巣ごもり”で日常生活も激変。こうした陰鬱な日常から抜け出したい要求が高まっている。そんな時、ニューノーマルの旗手として屋外スポーツの代表、ゴルフに白羽の矢が立った。屋外で「三密」を避け、気分転換したいのは往年のゴルファーだけに限らない。ゴルフ離れして久しい若者、女性もゴルフに目を向け始めた。
バブル崩壊後、ゴルフ場の倒産は右肩上がりで増え続けた。2002年の108件をピークに一巡したが、今度は会員権償還が巡ってきた。一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会調べの「2019年度全国ゴルフ場入場者数速報値」によると、2019年度の総利用者数は8631万人(前年度比1.6%増)。最近の入場者数は増減を繰り返すが、コロナ禍を奇貨として、2020年のゴルフ場倒産は過去最少が見込まれる。
ゴルフ場大手のパシフィックゴルフマネージメント(株)(東京都台東区)は、新型コロナの予防対策としてバンカーレーキを使用せず、足で簡単にならし、ピンは抜かず、(ピン傍は)ワングリップOK、などを推奨している。専門家は、「ゴルフは長時間拘束され、(同伴者に)気を遣うことも多かった。それがスループレーや三密を避けることも有利に働き、昔からのゴルファーだけでなく、若者や女性を呼び戻しているのでは」と分析している。
ゴルフ場の法律に詳しいさくら共同事務所の西村國彦弁護士は、「コロナの経済への影響が大きくなれば、ゴルフ場の倒産が増える可能性がある」と指摘した上で、「18ホールスルーで楽しむゴルフに転換できるチャンス」とコロナ禍でのゴルフ場の変化に期待をかける。とはいえ、水面下でコロナ倒産を検討しているゴルフ場もある。その一方で、予約が取りづらいゴルフ場もある。スポーツの秋を迎え、ゴルフ場の経営は二極化が進みそうだ。
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