帝国データバンクがこのほど発表した「都内に本店を置く23信用金庫 預金・貸出金調査」結果によると、2020年3月末時点の23金庫の預金積金残高の合計は25兆5090億8600万円となり、2019年3月末比で3057億6900万円増加(1.21%増)した。23金庫中19金庫(構成比82.6%)で預金積金を伸ばし、総預金積金残高の増加が続いている。2020年3月末時点で、預金積金残高が1兆円を超えているのは、10金庫だった。
前年比で最も預金積金残高の増加幅が大きかったのは、「東京」(5.33%増)、以下、「東京シティ」(5.02%増)、「世田谷」(3.57%増)と続いた。一方でマイナスとなったのは「東京三協」(2.18%減)や「西武」など4金庫。各金庫では、少子高齢化の進行といった社会の変化を踏まえ、高齢者や子育て世代向け商品を拡充するなど多様化する利用者のニーズや資金運用に対応するべく幅広い預金商品を取り揃えていることが増加に寄与している。
また、2020年3月末時点の23金庫の貸出金残高の合計は14兆481億5100万円となり、2019年3月末比で472億2300万円増加(0.34%増)した。23金庫中21金庫(構成比91.3%)で貸出金残高を伸ばした。中小事業者向け融資に積極的に取り組んでいることなどが貸出金の増加につながっているものの、西武信用金庫の前期比9.98%の減少が影響し、全体でも同0.34%増(前年は1.85%増)と伸びは鈍化した。
23金庫の平均自己資本比率をみると、2017年3月末10.04%→2018年3月末9.83%→2019年3月末9.58%→2020年3月末9.58と3年連続で10%割れ。2020年3月末時点で23金庫中、最も自己資本比率が高かったのは「亀有」で15.47%、次いで「東栄」11.14%、「西武」11.00%となり、自己資本比率が10%を上回っているのは23金庫中9金庫となった。低金利政策が長期化するなか、経営の健全性確保に苦慮している様子がうかがえる。
23金庫の金融再生法上の不良債権の総額をみると、2020年3月末は4704億100万円となり、2019年3月末比で179億5600万円減少。2020年3月末時点で23金庫中16金庫が前年比減少、同7金庫が増加した。前年比で最も減少したのが「城北」の48億8400万円減、次いで「東京東」43億6300万円減。一方で、前年比で最も増加したのは「西武」の63億100万円増、次いで「東京」の7億8800万円と続く。
同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s200901_98.pdf