信金の業種別貸出、個人向け対面サービスで高い伸び

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う4月の緊急事態宣言発令から間もなく半年となるが、信金中央金庫が2日に発表したコロナ禍における信用金庫の業種別貸出金動向によると、コロナ禍において運転資金の伸び率が高い業種は、飲食業、生活関連サービス業、娯楽業、宿泊業などであり、個人向けに対面でサービスを行う業種、比較的小規模な事業者に対して、信用金庫が機動的な資金繰り支援をしてきたことが明らかになった。

 6月末の前年同月比伸び率が主要業種で最も高かったのは「飲食業」で、72.1%増。外出自粛による来店客の急減、営業自粛要請のため、早い時期から売上が急減した店舗が多かったためとみられる。2番目に伸び率の高い「生活関連サービス業、娯楽業」は同30.5%増。理容・美容業、旅行業、結婚式場など個人対象のサービスのほか、フィットネスクラブなどスポーツ施設、パチンコホール、カラオケボックス、映画館などの娯楽業からなる。

 3番目に伸び率が高かったのは「宿泊業」で、伸び率は同27.1%増。2月頃からのインバウンド需要の急減に続いて、国内での外出自粛要請などから国内旅行、ビジネス需要も大きく落ち込んだ。4番目の「情報通信業」は、25.5%の伸びだった。情報通信業には、通信業、放送業のほか、ソフトウエア業、情報処理・情報提供サービス業などの情報サービス業、インターネット附随サービス業が含まれる。

 これらの業種について、1先当り貸出額の違いをみると、飲食業向けが最も小口で平均1200万円程度。資金繰り資金の伸び率が相対的に高い業種は、宿泊業を除いて1先当り貸出額が比較的小さい業種が多い。この間の信用金庫の資金繰り支援は、コロナ禍の影響をより直接的に受けた個人向け対面サービスを行う業種、比較的小規模な事業者に対して、機動的な対応をしてきたことが分かる。

 中小企業の資金繰り判断D.I.においても、サービス業、飲食業を含む小売業で落込みが大きく、業種別貸出動向と符合する。いずれの業種でも7~9月期は前期に比べて改善しており、現状、同D.I.の底は4~6月期だった。コロナ禍による個人向け貸出への影響は、消費性ローンに表れており、カードローン等の減少幅が大きく拡大。消費支出の減少で借入需要が減少したほか、特別定額給付金等の支給によって返済が進んだためだとみられる。

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https://www.scbri.jp/PDFkinyuchousa/scb79h2020s27.pdf