国土交通省が9月29日に公表した2020年地価調査結果によると、2万1519地点を対象に実施された2020年7月1日時点の基準地価は、全国の全用途平均が前年比▲0.6%(前年+0.4%)となり、2017年以来3年ぶりに下落に転じた。用途別では、全国住宅地の下落幅が▲0.7%(同▲0.1%)に拡大し、全国商業地が▲0.3%と2015年以来5年ぶりに下落に転じるなど、新型コロナウイルス感染症の影響により、これまでの回復傾向から変化した。
三大都市圏は、住宅地は東京圏(▲0.2%)、大阪圏(▲0.4%)が2013年以来7年ぶりに、名古屋圏(▲0.7%)は2012年以来8年ぶりに下落に転じた。商業地は東京圏(+1.0%)、大阪圏(+1.2%)で上昇を継続したが、上昇幅が縮小し、名古屋圏(▲1.1%)は2012年以来8年ぶりに下落に転じた。ちなみに、下落地点の割合をみると、用途別では商業地が住宅地より昨年からの下落地点数の割合の増加が大きい。
地方圏は、全用途平均(▲0.8%)・住宅地(▲0.9%)は下落幅が拡大し、商業地(▲0.6%)は昨年の上昇から下落に転じた。地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では、全用途平均(+4.5%)・住宅地(+3.6%)・商業地(+6.1%)のいずれも、上昇を継続したが、上昇幅が縮小し、地方四市を除くその他の地域では全用途平均(▲1.0%)・住宅地(▲1.0%)・商業地(▲1.0%)のいずれも、下落幅が拡大した。
この背景としては、この1年間のうち前半(19.7.1~20.1.1)は、交通利便性や住環境の優れた住宅地、オフィス需要の強い商業地、訪問客の増加に伴う店舗やホテルの進出が見込まれる地域を中心に地価の回復傾向が継続していたとみられる。一方、後半(20.1.1~20.7.1)は、新型コロナウイルス感染症の影響による先行き不透明感から需要が弱まり、総じて上昇幅の縮小、上昇から横ばい又は下落への転化となったとみられている。
都道府県別の地価変動率をみると、住宅地は、変動率プラスの都道府県の数が2019年の15から5(宮城県、東京都、福岡県、大分県、沖縄県)に減少し、マイナスの都道府県が同32から42に増加。また、商業地は、変動率プラスの都道府県が同19から10(宮城県、千葉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府、広島県、福岡県、熊本県、沖縄県)に減少し、マイナスの都道府県が同26から36に増えている。
2020年地価調査結果は↓
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00001.html