東京商工会議所はこのほど、「2021年度税制改正に関する意見」をとりまとめ発表した。意見書では、コロナ禍によりわが国経済はかつてない危機的状況に直面しているとし、経済の長期停滞が想定される現下の状況では「企業の事業継続・雇用維持に資する税制」を措置すべきと主張。また、「ポスト・コロナ時代」を見据え、行政分野のデジタル化、財政健全化、地方創生・地域活性化を一層推進すべきとしている。
中小企業の事業継続・雇用維持に資する税制措置では、中小企業の法人税の軽減税率(15%)の延長・恒久化、欠損金の繰越控除の拡充等、土地に係る固定資産税の一定期間の税額(課税標準)の据置等の緊急措置及び負担調整措置の延長等、消費税インボイス制度の導入凍結、小規模事業者の電子帳簿の促進(電子帳簿保存法の思い切った要件緩和、青色申告特別控除における電子化インセンティブの拡充等)などを求めた。
コロナ禍を乗り越え、挑戦する中小企業を支援するため、中小・中堅企業のビジネスモデルの変革を後押しする税制措置としては、経営資源の集約・強化に取り組む中小企業を後押しする税制の創設や地域未来投資促進税制の延長・拡充(サプライチェーンの強靭化等)、中小企業向け設備投資減税、研究開発税制、所得拡大促進税制の延長・拡充・要件緩和、デジタル化投資を促す少額減価償却資産特例の拡充(上限300万円の引上げ)等を要望。
消費税の価格転嫁の円滑化、インボイス制度への対応では、外税表示の恒久化、価格転嫁拒否行為の機動的な取締体制の継続等、消費税の円滑な価格転嫁の実現や、消費税インボイス制度の導入凍結等(再掲)を要望。また、円滑な事業承継の実現に資する税制措置として、事業承継税制の利用促進に向け、特例承継計画の提出期限(2023年3月末)の延長、相続発生時における後継者に係る役員就任要件の撤廃等を盛り込んだ。
そのほか、地域の強靭化、地方創生に資する税制措置として、大規模災害に備える防災・減災対策を促す税制措置を、中小企業の経営基盤の強化に資する税制措置として、中小・中堅企業の活力強化に資する印紙税、事業所税の廃止等を要望。さらに、中小企業の経営基盤を阻害する、炭素税など追加的なカーボンプライシングの導入・外形標準課税の中小企業への適用拡大・個人住民税の現年課税課等への反対を表明している。
東商の「2021年度税制改正に関する意見」は↓