2020年上半期の食品産業景況DIが最低値を記録

 日本政策金融公庫が食品関係企業を対象に実施した「食品産業動向調査」結果(有効回答数2771社)によると、2020年上半期の食品産業の景況DIは、2019年下半期より20.6ポイント低下し、調査開始(1996年)以降の最低値である▲41.6となった。2020年下半期見通しは、1.6ポイント上昇し、▲40.0となる見通し。地域別景況DIは、全ての地域が▲36.3~▲50.1の幅でマイナス値となり、北海道、近畿、南関東の順に低下幅が大きくなった。

 2020年上半期の業種別の景況DIは、「製造業」(▲47.1)、「卸売業」(▲42.2)、「飲食業」(▲81.6)でマイナス幅が拡大。一方、「小売業」では、2019年下半期から46.0ポイント上昇し、18.3とプラス値に転じた。2020年下半期の業種別の景況DIは、「製造業」、「卸売業」、「飲食業」でマイナス幅が縮小。「小売業」では2020年上半期から38.7ポイント低下し、▲20.4と再びマイナス値となる見通し。

 新型コロナウイルス感染症拡大による売上高への影響については、「飲食業」で95.3%、「製造業」で75.1%、「卸売業」で71.1%が「マイナスの影響が出ている」と回答。一方、「小売業」では56.4%が「プラスの影響がでている」と回答した。具体的なマイナスの影響は、「製造業」と「卸売業」では「営業・商談の自粛・延期・中止」が最も多く、次いで「国内既往販路・出荷ルートの縮小・停止」となった。

 「小売業」と「飲食業」では「営業日(稼働)日数の減少」が最も多く、次いで「販売予約のキャンセル・来店者の減少」となった。また、新型コロナ収束後の経営再建・発展における課題では、「製造業」と「卸売業」で「需要の変化に対応した商品・生産物の見直し、開発」、「小売業」で「衛生対策に配慮した施設整備、管理面の強化」、「飲食業」で「販路多様化」がそれぞれ最も多くなった。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた今後の国内産地との取引についての意向は、「製造業」で29.0%、「卸売業」で44.1%、「小売業」で36.8%、「飲食業」で27.7%が「増やしたい」と回答した。国内産地との取引を増やしたい理由は、「販売先(消費者サイド)のニーズ増加」を挙げる回答が、「製造業」(52.2%)、「卸売業」(44.7%)、「小売業」(62.0%)で最も多くなっている。

 同調査結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics200907a.pdf