アドビが、企業の総務担当者500名(従業員数30名~300名の中小・小規模企業、及び301名以上の企業総務担当者)を対象に実施した「社内データの備えと管理に関する調査」結果によると、「企業データをバックアップ」していると回答した割合は全体の68.4%で、クラウドサービス活用を含む「社内以外の場所に遠隔地バックアップ」ができていると回答した割合は、全体の32%にとどまる結果となった。
社内書類を紙で保管していると、新型コロナウイルス感染症が拡大している中でも捺印のためだけに出社する必要があったり、水害や火災などの災害時に文書紛失リスクを招いたりするなど、企業の事業継続にも大きな影響を与える。そこで、社内の書類データの管理方法については、紙を使わず「デジタルデータで管理」できていると回答した企業は全体の11%にとどまり、特に従業員数300名以下の企業では7.6%と低い結果となった。
多くの企業が書類を紙ベース管理している実態が分かったが、中小企業庁などでは、企業のBCP(事業継続計画)対策として社内データのバックアップを推奨している。そこで、情報のコピーやバックアップを取っているかを聞いたところ、バックアップの実施率は全体の68.4%で、「ほとんど取れていない」(18.2%)、または「全く取れていない」(2.4%)という回答が20.6%と2割以上にのぼった。
特に従業員数300名以下の中小・小規模企業で、バックアップの実施率が低い傾向が見られた。また、テレワークが進み、稟議プロセスをオンライン化する企業も増えているが、契約書類や社内データなど、複数の人で確認する必要がある際、書類を紙で印刷して一人ずつ回して確認したりするようなシーンが「頻繁にある」が22.6%、「ときどきある」が44.8%と合わせて7割近くの企業で紙での確認が慣例化していることも分かった。
アドビは、「新型コロナウイルスの感染拡大はさることながら、自然災害の多い日本では中小・小規模企業でもBCPの策定が重要となる。洪水や地震等の災害が起こる度に、紙だけで保存されていた各種重要資料が失われるという事例が頻発している。社内の情報管理や従来紙で行われてきた稟議プロセスの見直しとともに、データのバックアップや管理負担の軽減の観点からもクラウドサービスの積極的活用が重要」と指摘している。
同調査結果は↓