源泉徴収での甲欄、乙欄、丙欄の適用誤りに注意!

 会社が従業員に給与や賞与を支払う際は、給与等から源泉所得税を源泉徴収して従業員に代わって納付するが、源泉徴収する税額は、その支払いの都度、「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求める。この税額表には、「月額表」、「日額表」、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の3種類がある。月額表には、給与の支払い形態によって甲欄、乙欄、丙欄(日額表のみ)を使用するが、その適用誤りによるミスが少なくない。

 うっかりミスによって源泉徴収漏れがあったり、1日でも納付が遅れると、不納付加算税や延滞税などの余分な税金を会社が納めなければならないことになるので注意したい。さて、適用区分だが、「給与所得者の扶養控除等申告書」が提出されている場合には「甲欄」、提出がない場合には「乙欄」で税額を求める。「丙欄」は、「日額表」だけにあり、日雇いの人や短期雇い入れるアルバイトなどに一定の給与を支払う場合に使う。

 源泉徴収漏れが多いのは、パートやアルバイトなど正社員以外の人に給与を支払う際だ。源泉徴収する税額は、一般の社員と同様に「給与所得の源泉徴収税額表」の「月額表」または「日額表」の「甲欄」または「乙欄」を使って求める。ただし、給与を勤務した日または時間によって計算していることのほか、下記のいずれかの要件に当てはまる場合には、「日額表」の「丙欄」を使って所得税額を求めることになる。

 それは、(1)雇用期間があらかじめ定められている場合には、2ヵ月以内であること、(2)日々雇い入れている場合には、継続して2ヵ月を超えて支払をしないこと。だから、パートやアルバイトに対して日給や時間給で支払う給与は、あらかじめ雇用契約の期間が2ヵ月以内と決められていれば、「日額表」の「丙欄」を使うことになる。ただし、期間延長や再雇用によって2ヵ月を超えてしまうと「丙欄」を使うことはできないので留意したい。

 なお、(1)日給が9300円未満の日雇いや短期(2ヵ月以内)のアルバイト等、(2)「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していて、月給または日給が一定額未満のアルバイト等の場合は、源泉徴収をする必要がないことになっている。この一定額については、扶養親族の数によって異なるが、例えば、扶養親族が0人であれば、月給8万8千円未満(日給であれば2900円未満)となる。