基準期間がない法人の消費税の納税義務の免除の特例

 消費税においては、中小事業者の納税事務負担などに配慮して、その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下の事業者については、納税義務を免除する事業者免税点制度が設けられている(「特定期間における課税売上高が1000万円を超えた場合」を除く)。したがって、新たに設立された法人については基準期間が存在しないため、設立1期目及び2期目は原則として免税事業者となる。

 しかし、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金等が1000万円以上である法人や特定新規設立法人は、その基準期間がない事業年度における課税資産の譲渡等について納税義務を免除しないこととする特例が設けられている。この特例の適用を受ける法人であっても、設立3期目以後の課税期間における納税義務の有無の判定は、原則どおり、基準期間における課税売上高で行うこととなる。

 なお、基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間(簡易課税制度の適用を受ける期間を除く)中に「調整対象固定資産」の課税仕入れや調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取りを行った場合には、その調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から原則とし3年間は免税事業者となることはできず、また、簡易課税制度を適用して申告することもできないので注意が必要だ。

 上記の「特定期間における課税売上高が1000万円を超えた場合」とは、その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1000万円を超えた場合は、当課税期間から課税事業者となるといことだ。特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヵ月の期間をいう。

 また、上記の「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその付属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で、一の取引単位の価額(消費税及び地方消費税に相当する額を除いた価額)が100万円以上のものをいう。