3月期決算上場企業の女性役員ゼロは全体の5割超

 東京商工リサーチが発表した「女性役員比率調査」結果によると、2020年3月期決算の上場企業2240社の役員総数は2万5273人で、前年同期(2万5785人)より512人(1.9%減)減少した。このうち、女性役員数は1530人(構成比6.0%)で、前年同期(1272人、構成比4.9%)より258人増加し、女性役員比率は1.1ポイント上昇した。2240社のうち、女性役員数ゼロは1152社と51.4%を占めた。

 女性役員がゼロの上場企業は前年同期の1295社(構成比57.8%)から143社減少、構成比が6.4ポイント低下し、女性の役員登用は少しずつ進んでいる。3月期決算に新たに女性役員が誕生したのは159社(同7.0%)だった。産業別の女性役員比率は、全10産業で前年同期を上回り、最高は「電気・ガス業」9.3%(前年同期7.2%)。一方、最低は「建設業」4.9%(同3.3%)で、最高の電気・ガス業とは4.4ポイントの差が生じている。

 女性役員比率が50.0%以上の上場企業は、老人介護ホームの「光ハイツ・ヴェラス」(女性役員比率62.5%)、化粧品製造販売の「シーボン」(同50.0%)の2社(前年同期3社)。2015年12月、政府は第4次男女共同参画基本計画を閣議決定し、上場企業の女性役員の割合を「2020年までに10%を目指す」目標を掲げた。女性の役員登用は少しずつ進んでいるが、まだ6.0%にとどまっている。

 2020年3月期決算の上場企業の女性役員比率10%以上は612社(構成比27.3%)と、3割に届かない。ゆっくりと女性の役員登用は進んでいるが、女性役員数ゼロの上場企業も51.4%と半数に及び、政府目標10%達成へのハードルはかなり高い。こうしたなか、海外の機関投資家が取締役に女性を登用するように促し、女性役員がいない場合、社長の選任に反対するとの動きも出始めている。

 東証1部上場企業では、2020年3月期には女性の役員比率が7.0%と、前年同期の5.6%から1.4ポイント上昇した。また、女性役員数も1229人と、前年同期(1005人)から224人増えた。女性の役員登用は、多様な企業価値の創造にもつながる。相次ぐ自然災害や新型コロナウイルス感染拡大などで、社会的な価値観も変遷するなか、新たな視点と柔軟な発想を経営に反映させることが期待されている。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200811_02.html