帝国データバンクが発表した「国内タクシー業者3327社の経営実態調査」結果によると、国内タクシー業者3327社のうち、2017年及び2018年、2019年の3期連続で年収入高が判明した3225社を対象に各年の年収入高合計をみると、2019年は1兆1634億1600万円となり、前年比8979万円(0.8%減)の微減となった。年商増減が比較可能な3098社の業績動向をみると、2019年は「増収」が14.0%で、「減収」が26.0%となった。
国内タクシー業者3327 社のうち本店所在地を都道府県別でみると、「東京都」が構成比9.3%で最多、次いで「北海道」(5.9%)、「福岡県」(5.5%)となった。3327社のうち、2018年及び2019年の年収入高の業績比較が可能な3242社を都道府県別でみると、増収企業の割合が最も高かったのは「京都府」(16社、構成比40.0%)となった。外国人を含めた京都市内の観光客が多く、春・秋シーズンの修学旅行などの団体客需要も旺盛だった。
3位の「東京都」(78社、構成比28.0%)は、都内への観光客の増加に加え、2017年に初乗り運賃の410円引下げにより、高齢者を中心に近場へ移動するいわゆる“ちょい乗り”需要があり、回転率を向上させる動きがみられた。一方、減収企業の割合が高かったのは「長崎県」(25社、同39.7%)。訪日外国人観光客の来日ルートが福岡県など他県からのルートが本格化し、需要が伸び悩んだことなどで、タクシー利用が落ち込んだ。
業歴別では、国内タクシー業者3327社のうち、業歴が判明した3326社をみると、「50~100年未満」が70.1%で最多、次いで「10~30年未満」が12.2%となった。全体でみると、業歴30年以上が82.7%を占めた。3326社のうち、2018年及び2019年の年収入高が判明した3241社をみると、増収企業の割合が多かったのは「10年未満」(構成比32.7%)となった。一方で、減収企業は「50~100年未満」(同28.2%)がトップとなった。
また、従業員数が判明した国内タクシー業者3227社を従業員数別にみると、「10~100 人未満」が61.6%で最も多く、次いで「100~1000人未満」が21.4%となった。従業員数100人未満が全体の約8割を占めている。なお、差別化のため訪日外国人向けに英会話ができる社員の採用や、教育制度など人材に投資する企業のほか、電子マネー決済を導入する企業がみられるなど、大手と中小・零細企業との間で、格差の広がりもみられた。
同調査結果は↓