子供のアルバイトには注意が必要!~勤労学生控除

一定の要件を満たす学生は27万円の所得控除を受けることができる。これを勤労学生控除という。勤労学生とは、その年の12月31日の現況で、(1)給与所得などの勤労による所得があること、(2)合計所得金額65万円以下(2020年分以降は75万円以下)で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること、(3)特定の学校の学生、生徒であることの要件の全て当てはまる人だ。

 特定の学校とは、(イ)学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など、(ロ)国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの、(ハ)職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの、のいずれかの学校だ。いずれの学校に当てはまるかどうか分からないときは、通学している学校の窓口で確認しよう。

 そこで、これまで親の扶養控除の対象になっていた21歳の大学生の子どものケースを見てみよう。例えば、その大学生の子どもがアルバイト等をしてその給与所得だけの場合、年間の給与収入が130万円であれば給与所得控除65万円を控除し、合計所得金額は65万円となり、そこから勤労学生控除27万円と基礎控除38万円を控除すると課税所得は0円になるので、大学生自身は所得税がかからないことになる。

 ただし一方で、これまで学生である子どもを扶養親族として扶養控除の適用を受けていた父親は、扶養控除の適用を受けることができなくなる。扶養親族の範囲とは、納税者と生計を一にする16歳以上の合計所得金額が38万円以下(2020年分以降は48万円)の者だから、子どもの合計所得金額が65万円であれば扶養親族の対象からは外れてしまう。合計所得金額が38万円以下とは、給与のみの場合は給与収入が103万円以下だ。

 扶養控除は配偶者特別控除のように段階的に控除額が少なくなる措置がないので、合計所得金額が38万円を超えたならば控除額は0円となる。また、上記の例でいけば、子どもは21歳なので、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)に該当していたことから、通常の38万円の扶養控除ではなく、63万円の扶養控除を受けられるはずだった。つまり、子どものアルバイト代が103万円以下であれば扶養控除の対象となっていたわけだ。