上半期の負債1千万円未満の企業倒産、初の300件超

 東京商工リサーチがこのほど発表した「負債1000万円未満の倒産調査」結果によると、2020年上半期(1~6月)の「負債1000万円未満」の倒産は、302件(前年同期比23.7%増)となり、上半期で300件を超えたのは2000年以降で初めてとなった。また、増加率は「負債1000万円以上」の0.2%増を大幅上回った。新型コロナウイルス禍で小・零細規模の商店・企業の倒産が急増している。

 「新型コロナウイルス」感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令で、裁判所が業務を一部縮小するなど倒産手続きに影響が生じた5月は17件(前年同月比48.4%減、前年同月33件)と大幅に減少したが、6月は一転して94件(同100.0%増、同47件)と2倍増に急増した。また、産業別では、10産業のうち、「建設業」、「製造業」、「小売業」、「不動産業」、「金融・保険業」を除く5産業で前年同期を上回った。

 件数順では、最多は「サービス業他」の151件(構成比50.0%)で、半数を占めた。以下、「建設業」37件(同12.2%)、「小売業」32件(同10.5%)、「卸売業」26件(同8.6%)、「情報通信業」24件(同7.9%)、「製造業」13件(同4.3%)、「運輸業」11件(同3.6%)と続く。最多のサービス業他では、「飲食業」(31→46件)、エステティック業などを含む「生活関連サービス業、娯楽業」(13→20件)で増加が目立った。

 形態別では、「破産」が295件(構成比97.6%)と大半を占めた。次いで、「民事再生法」と「取引停止処分」が各3件、「特別清算」が1件の順。「破産」は2010年以降、11年連続で構成比が9割を上回った。2000年12月に東京地裁で法人少額管財の手続き運用が始まり、順次全国の地裁で扱いが広がるにつれて、破産が右肩上がりで増加。「民事再生法」は3件全てが個人企業の小規模個人再生で、法人の手続きはなかった。

 負債額別では、最多が「500万円未満」の105件(構成比34.7%)。以下、「500万円以上600万円未満」が72件(同23.8%)、「600万円以上700万円未満」が36件(同11.9%)、「700万円以上800万円未満」が34件(同11.2%)などの順。600万円未満が177件で全体の58.6%を占め、近年、構成比は6割前後が続き、高止まりしている。代表者の個人破産に伴う法的手続き、休眠会社の清算処理も、負債が小口化した要因とみられる。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200708_01.html