帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、6月の倒産件数は806件で、前月比は180%増、前年同月比でも9.8%増となり、2ヵ月ぶりの前年同月比増加で今年最多となった。これは、前月が、緊急事態宣言の発令に伴い、弁護士事務所や裁判所の業務縮小で、法的整理手続きが滞留したことなどから大幅減少となったことの反動とみられる。
一方、負債総額は1264億3800万円(前月711億3100万円、前年同月803億7100万円)となり、前月比では77.8%の大幅増加、前年同月比でも57.3%の大幅増加となって、2ヵ月ぶりに前年同月を上回った。これは、法的整理手続きが滞留していた前月からの反動と、今年最大の負債となる(株)ホワイト・ベアーファミリー(大阪府、民事再生、負債約278億円)の倒産が発生したことなどによる。
倒産件数を業種別にみると、7業種中5業種で前年同月を下回った。なかでも卸売業(105件、前年同月比25.0%増)は衣服・繊維製品卸(18件)や木材・建築材料卸(15件)で増加。また、新型コロナウイルス感染拡大にともなう外出自粛の影響もあり、小売業(193件、同19.9%増)では飲食店(90件)が前年同月比60.7%増となった。サービス業(205件、同22.8%増)は、6月としては2010年6月以来10年ぶりの200件超となった。
負債規模別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は499件(前年同月比5.5%増)で、構成比は61.9%を占め、依然として小規模倒産が大半を占める傾向が続いた。また、負債1億円以上の倒産は192件と、前年同月を18.5%上回り、負債数億から十数億円規模の倒産が目立った。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満(個人事業主を含む)の合計が556件(同6.9%増)で構成比は69.0%と高水準で推移した。
地域別にみると、9地域中6地域で前年同月を下回った。なかでも近畿(254件、前年同月比50.3%増)は、2013年9月以来6年9ヵ月ぶりに全業種で前年同月を上回り、大阪府(163件)は98.8%増と、地域全体を押し上げた。九州(64件、同18.5%増)は、福岡県(32件)や熊本県(13件)などで増加した。一方、関東(229件、前年同月比11.9%減)、中国(32件、同23.8%減)など3地域は前年同月を下回った。
同倒産状況の概要は↓