自然災害被災者への独自支援金は非課税~文書回答

 自然災害の被災者に対して市区町村が独自に支給する支援金は非課税とする——。これは、愛知県日進市からの照会に対する名古屋国税局の文書回答により明らかとなったもの。 一定の自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた場合、その被害の規模が一定以上であれば被災者生活再建支援法(支援法)に基づき、生活再建を支援するための支援金(法定支援金)の支給を受けることができる。

 愛知県では、この支援法による支援の対象とならない被災者に対して県内の市町村が、同県の被災者生活再建支援事業費補助金交付要綱に基づき「被災者生活再建支援金」を支給する場合、その市町村に対して補助金を交付することとしている。そこで、被災者が支援金の支給を受けた場合について、支援金は非課税所得に該当するか、雑損控除に係る損失の金額の算定に当たって、支援金の額を当該損失の金額から控除すべきか等を照会したもの。

 日進市では、本件支援金について、自然災害により住宅が全壊、半壊解体・敷地被害解体、長期間居住不能、大規模半壊の被害を受けた世帯を対象として、住宅を含む資産に生じた損害に対して支給され、また、災害に伴い地方公共団体が被災者に対して支払う見舞金と捉えることができ、金額も社会通念上相当であることから、資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金に該当し、非課税所得に該当するものと判断した。

 また、法定支援金については、東日本大震災後の実情などを踏まえ雑損控除に係る損失の金額から控除しないものと取り扱われているところ、本件支援金はその交付目的、対象となる住宅の被害の程度及び支給する金額も支援法と同じであることからすれば、本件支援金は、法定支援金と同様に、雑損控除に係る損失の金額から控除しないものとして取り扱うことが相当との考えを示した。

 さらに、住宅借入金等特別控除の適用にあたり、法定支援金は住宅の取得等と相当の因果関係を有するとは認められないことから、住宅取得等の対価の額又は費用の額から控除する必要はないものと取り扱われているところ、本件支援金も住宅の取得等と相当の因果関係を有するものではないと解するのが相当であることから、住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額から控除しないものと取り扱うことが相当であると判断した。

 これらの判断につき妥当性を照会したところ、名古屋国税局は照会に係る事実関係を前提とする限り日進市の見解の通りで差し支えないと回答している。文書回答は照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であることを留意して適宜参考にされたい。

 この件は↓

https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/shotoku/200701/besshi.htm#a01