新型コロナの影響で依然厳しい状況が続く外食産業

 日本フードサービス協会が発表した「外食産業市場動向調査5月度の集計」結果によると、5月の外食全体の売上は前年比67.8%と、4月(60.4%)よりいくぶん回復したものの大幅な減少となった。「持ち帰りの有無」と、「休業店舗の多少」が、業態間の明暗を分け、テイクアウトに強みのあるFFではむしろ好調なところのある一方で、休業せざるを得ず、持ち帰り対応に不向きな飲酒業態などは4月に続き、壊滅的な打撃を受けた。

 厳しい状況が続く外食産業市場は、5月も、新型コロナウイルスの影響により深刻な事態が続いた。4月に全国に発令された「緊急事態宣言」は5月14日には39県で解除されたものの、大阪圏は21日、東京圏は25日まで解除が延期されたことで、多くの外食店舗では営業時間の短縮や臨時休業が続いた。解除後も繁華街立地、夜の時間帯、休日等では客足の戻りは鈍い状況となっていた。

 業態別にみると、ファーストフード(FF)業態では、4月に続き、商業施設立地の店舗では休業したところもあったが、多くは時間短縮の中で営業を続けた。FFでは特に洋風の「持ち帰り」需要が強みとなったほか、宣言解除後の店内飲食の回復もあり、全体売上は90.7%となった。「洋風」は、4月以上にデリバリーを含む持ち帰り需要が伸び、売上は110.9%と前年を大幅に上回った。

 ファミリーレストラン(FR)業態も、4月に続き、商業施設立地の店舗では休業したところもあったが、多くは時間を短縮して営業を続けた。宣言解除後の店内飲食が徐々に回復するなか、引き続きテイクアウト、デリバリーの強化も行われ、売上回復に寄与したが、外出自粛や、営業時間短縮による落込みをカバーできず、全体売上は50.6%と前年を大幅に下回った。「焼肉」は休業店舗が徐々に再開し、売上は50.9%にまで戻った。

 飲酒業態は、4月に続き多くの店舗が休業した。テイクアウトやランチ営業だけでは売上が立たず、また宣言解除後に店を再開しても、外出自粛が続くなか、ほとんど集客できない店もあり、「パブ・ビアホール」は売上4.1%、「居酒屋」は11.5%と前月に引き続き壊滅的な状況となった。喫茶業態は、4月に続き、緊急事態宣言下の地域では休業する店舗が多く、宣言解除後もビジネス街立地では再開後の集客が振るわず、売上は33.2%となった。

 同調査結果は↓

http://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2020-05.pdf