公正取引委員会は、国民生活に影響の大きい価格カルテル・入札談合・受注調整、中小事業者等に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用や不当廉売などに厳正かつ積極的に対処することとしている。公取委がこのほど発表した2019年度における独占禁止法違反事件の処理状況によると、同年度においては、独禁法違反行為について、延べ40名の事業者に対して、11件の排除措置命令を行ったことを明らかにした。
排除措置命令11件の内訳は、価格カルテル6件、入札談合3件、不公正な取引方法2件。価格カルテル・入札談合9件の市場規模は、総額6300億円超である。また、2019年度においては、独禁法違反被疑行為について、2名の事業者に対して、2件の確約計画の認定を行った。2018年12月に導入された確約手続きは、公取委と事業者との間の合意により自主的に解決するための手続きである。
警告等の状況では、(1)違反の疑いのある行為が認められた2件について、関係事業者に対し、事前説明を行った上で警告・公表を行った(優越的地位の濫用1件、拘束条件付取引1件)、(2)デジタル・プラットフォーマーによる規約変更に係る事案1件について、事業者の自発的な措置を踏まえて調査を終了した(優越的地位の濫用1件)、などの事案の概要を公表することで、独禁法や競争政策上の問題点を広く周知するなどの処理を行った。
独金法違反で納付を命じた課徴金納付命令の状況をみると、2019年度においては、延べ37名(前年度18名)の事業者に対して、総額692億7560万円(同1450万円)の課徴金納付命令を行った。この約693億円は、課徴金制度が導入された1977年度以降、2010年度の約720億円に次いで過去2番目に多かった。一事業者当たりの課徴金額の平均は18億7231万円だった。
2019年度において、独禁法の規定に違反すると考えられる事実について、公取委に寄せられた報告(申告)の件数は、3193件だった。申告が書面で具体的な事実を摘示して行われるなど一定の要件を満たした場合には、申告者に対して措置結果等を通知することとされているが、2019年度においては、2910件の通知を行った。また、課徴金減免制度に基づき,事業者により自らの違反行為に係る事実の報告等が行われた件数は、73件だった。
この件については↓
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/jun/200617.html