中小企業成長促進法成立、事業承継時の個人保証不要

 事業承継時に経営者保証は大きな課題となっていることから、中小企業の事業承継促進のため、経営承継円滑化法を改正し、経営者個人の保証を不要とする信用保証制度を創設することなどを盛り込んだ「中小企業成長促進法」が6月12日の参院本会議で可決・成立している。同法は、事業承継を後押しする改正経営承継円滑化法などを束ねており、事業承継の際に通常の保証と別枠で最大2.8億円の保証が受けられるようになる。

 中小企業成長促進法は、経営承継円滑化法の改正のほか、事業承継等に伴う事業拡大により中小企業者要件を満たさなくなった事業者に対し一定期間中は中小企業者とみなして中小企業向け支援を継続する地域未来法の改正や、経営強化法の改正、産業競争力強化法の改正、中小機構法の改正の計5つの改正法を一本にまとめたもの。一部を除き法律の公布から半年以内に政令で定める日から施行する。

 創設される信用保証制度は、経営者保証が事業承継をためらう障壁となっていることから、経営者保証の解除支援措置として、経営者交代による事業承継に併せて保証債務を借り換える際の資金に対して、経営者保証を求めない保証制度(経営承継借換関連保証)を信用保証協会の保証に追加され、経営者保証が引き継がれる心配がなく、スムーズな承継の実現が期待できる。適用には、経営承継円滑化法に基づく経済産業大臣の認定が必要となる。

 事業承継時に経営者保証を不要とする信用保証制度(事業承継特別保証制度)は、現行法制度下でも、信用保証の一般枠(2.8億円)の範囲内で、本年4月からスタートしているが、今回の法改正により、法認定を受けた企業が事業承継する際には、一般枠ではカバーできない融資に対して特別枠(最大2.8億円)が加わるため、合計で最大5.6億円の融資を受けることが可能になる。親族内承継だけでなく、M&Aも対象となる。