BCP策定企業は16.6%、低水準ながらも増加傾向

 帝国データバンクがこのほど発表した「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1979社)によると、自社におけるBCPの策定状況は、「策定している」企業は16.6%となり、前回調査(2019年5月)から1.6ポイント増加し、低水準ながらも増加傾向にある。また、「現在、策定中」(9.7%)、「策定を検討している」(26.6%)もそれぞれ増加し、BCPに対する意識は高まりをみせている。

 規模別でみると、「大企業」は30.8%がBCPを策定しており、全体(16.6%)を大きく上回っている。しかし、「中小企業」では13.6%、とりわけ「小規模企業」では7.9%で低位にとどまっており、BCPの策定状況は企業規模で大きく差が表れる結果となった。業界別では、「金融」(42.1%)が4割超と突出して高く、次いで、「農・林・水産」(28.6%)、「製造」(19.6%)、「サービス」(18.6%)が続いた。

 BCPを「策定意向あり」とする企業が想定する、事業の継続が困難になるリスク(複数回答)は、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が70.9%と最多、次いで、新型コロナウイルスの影響が広がるなか「感染症」(69.2%)が続き、前年より44.3ポイント増と大幅に増加。「取引先の倒産」(39.0%)も同8.7ポイント増で増加傾向を見せ、新型コロナウイルス関連倒産が増加するなかで、事業継続リスクとして上位に挙がっているとみられる。

 事業が中断するリスクに備えて実施あるいは検討している内容(複数回答)では、「従業員の安否確認手段の整備」が67.3%でトップ、次いで「情報システムのバックアップ」(52.6%)が続いた。また、在宅勤務などの「多様な働き方の計画」(40.4%)は、企業の4割が実施・検討している結果となった。一方、「事業中断時の資金計画策定」(27.3%)は前回調査から10ポイント以上増加している。

 BCPを「策定していない」企業のその理由を(複数回答)は、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が41.9%で最多、次いで、「策定する人材を確保できない」(28.7%)や「書類作りでおわってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」(28.6%)、「自社のみ策定しても効果が期待できない」(23.6%)が続いた。前年と同様の理由が上位に挙げられており、BCP策定に向けた課題の解決が進んでいない実態がうかがえた。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200606.pdf