業績へ「既にマイナス影響」企業、初の6割台に上昇

 帝国データバンクがこのほど発表した「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1979社)によると、新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響は、「(既に+今後)マイナスの影響がある」と見込む企業は86.1%となった。前回調査(2020年4月、88.8%)と比較すると2.7ポイント減少したものの、マイナスの影響を見込む企業は2ヵ月連続で9割近くにのぼった。

 内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」が62.8%(2020年4月、56.9%)。月次推移を確認すると増加傾向にあり、過去最高の6割超となった。また、「今後マイナスの影響がある」が23.3%(同31.8%)で前回調査より8.5ポイントの減少がみられた。他方、「影響はない」とする企業は6.5%(同4.0%)だったほか、「(既に+今後)プラスの影響がある」と見込む企業は2月調査時点では1.7%だったが、今回は2.8%となった。

 「マイナスの影響がある」と見込む企業を業界別にみると、「卸売」が88.4%で最も高く、以下、「不動産」(88.3%)、「運輸・倉庫」(87.2%)、「製造」(86.7%)が続いた。業種別では、「家具類小売」は3ヵ月連続、「旅館・ホテル」は2ヵ月連続で100%となった。以下、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(97.1%)、「娯楽サービス」(96.8%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(96.7%)が続いた。

 一方で「プラスの影響がある」と見込む企業を業界別にみると、「小売」が8.0%で最も高く、次いで、「金融」(3.8%)、「運輸・倉庫」(3.7%)、「製造」(3.3%)、「卸売」(3.2%)が続く。さらに、業種別にみると、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が31.3%で最も高く、2ヵ月連続で3割超となり、次いで、「飲食料品小売」(20.3%)、「飲食料品・飼料製造」(11.6%)、「飲食料品卸売」(6.8%)が続いている。

 新型コロナウイルス感染症により経済活動が制限されるなか、自社が実施もしくは検討している施策(複数回答)は、「政府系金融機関による特別融資の利用」が40.6%でトップ、次いで、「雇用調整助成金の利用」(39.8%)、「民間金融機関への融資相談」(38.0%)、「テレワーク設備などIT投資の推進」(36.6%)が3割超で上位に並んだ。特に、「中小企業」では、資金繰り対策を「大企業」より進めている様子がうかがえた。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200605.pdf