東京商工リサーチが発表した「新型コロナウイルス」関連破たん状況によると、6月10日17時現在、「新型コロナ」関連の経営破たんは、全国で235件(倒産167件、弁護士一任・準備中68件)に達したことが分かった。2月2件、3月23件から4月は84件に急増、5月も83件と高止まりした。6月は10日も6件判明して、合計43件に達し、月間100件を超えるペースをたどっている。
都道府県別に「新型コロナ」関連の経営破たん状況をみると、42都道府県で発生し、空白は福井、和歌山、鳥取、高知、長崎の5県にすぎない。件数の最多は、「東京都」の52件(倒産44件、準備中8件) で、10日は3件判明した。以下、「大阪府」22件(同15件、同7件)、「北海道」17件(同14件、同3件)、「静岡県」13件、「兵庫県」11件の順となっている。
業種別では、緊急事態宣言の発令で来店客の減少、休業要請などが影響した「飲食業」が36件、インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した「宿泊業」が35件。百貨店や小売店の休業が影響した「アパレル関連」が28件など、個人消費に依存した業種の苦戦が目立つ。また、休校やイベント自粛、飲食店休業の影響を受けた「食品関連」が31件、結婚式場や葬祭業の「冠婚葬祭業」が7件、「パチンコホール」が3件経営破たんした。
このほか、休業から再開できず閉院したクリニックなど、幅広い業種に影響が広がっている。企業倒産は、負債1000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計しているが、集計対象外の負債1000万円未満の倒産は、6月10日までに3件発生した。企業・商店が制度融資や支援策などを活用せず、廃業や倒産を決断するケースも出ている。表面化した経営破たんは氷山の一角との見方もあり、今後の水面下の動きには注意が怠れない。
経営破たんした企業は、人手不足、消費増税、暖冬の三重苦に加え、新型コロナで急激に業績が悪化したケースが多い。緊急事態宣言の解除で休業要請は緩和されたが、新型コロナへの感染防止で制限も多く、制度融資で一時的に資金繰りを凌ぎながら経営破たんした企業も出ている。政府が提言する「新しい生活様式」は、中小・零細企業に従来のビジネスモデルの抜本的な見直しを迫る。迅速な資金支援だけでなく、長期的な経営支援が急がれる。